第1章 友達以上恋人未満
パン!!綺麗な音と共に、ビンタを食らった。
「調子にのらないで!」
「オゥ、ソーリー…」
チェッ、駄目か。
だが、○○が俺を憎からず想っていると確信したぜ。
「それにしても、もっと人がいると思ったけど、人気ないんだね」
確かにそうだ。この間出来たばかりだというのに、いるのは俺たちだけで人がいない。そんなことって、あるだろうか?
「場所、間違えたんじゃない?」
「それはないぞ。何度も確認した」
ガイドブックを開いて展望台の住所を見る。
「○○県○○市○○町○○」
車に戻り、ナビに入れた住所を確認する。
「同じだね」
「だろ?何度も確認したからな」
しばらくブックとナビを見比べていた○○は、あっと声をあげた。
「ここ!ここ、違う!」
「えっ?!」
よく見るとブックの方は○○県○○市○○町○○となっていたが、ナビの方は○○県○◎市○◎町となっている。
「オーマイガッ!!」
「でも、いいわよ。人がいない方が、ゆっくりできるでしょ」
「…そう言ってもらえると、助かる」
○○は優しいな。俺の凡ミスを責めもせず、受け入れてくれる。そういうところも好きだ。
だんだん日も落ちてきて、帰ろうかということになった。車に戻り、ナビで○○の家の住所を入力する。が。
『場所の特定ができません』
「「えっ」」
二人同時に声に出す。
「そんな馬鹿な」
もう一度入力する。
『場所の特定ができません』
「何でだよ?!」
「私がやる」
○○が入力すると、
『目的地までのルートを検索します』
「入力し間違えたんじゃない?」
「そうかもな」
だが俺たちは、ちゃんと入力したのを見ていた。それなのに特定出来なかった。何か恐ろしいことが起こらなければ、いいが。不安だが口にすると、本当になりそうで怖い。
ナビの指示通りに走らせる。
「こんな道、通ったっけな」
「初めての道だから、余計にそう思うんじゃない?」
ガードレールがかなり凹んでいるのがある。
「誰か事故ったのか?」
「ちょっと、怖いこと言わないでよ」
俺は慎重に行くことにした。だが、やはりおかしい。あのガードレールの場所は、狭い訳でもカーブがきついわけでもない。むしろ何の障害もない。あんな場所で事故が起こるのか?