第6章 シャドウ もう一人の自分
「○○……!!お前まで俺をのけ者にするのか?!」
「違うわ!!優しいカラ松に戻って!!今分かったわ。シャドウが出てきたのは私じゃなく、カラ松だったのよ!!前からそういうことはあったわ。私が嫌なことを言われたりされたりした時、必ずその人に何か起こってた!あれは、偶然じゃなかったのね」
「お前を守るためだ!」
「カラ松…。その気持ちは嬉しいわ。でもこれは、ちょっとやり過ぎよ」
○○は屋敷に向かって叫んだ。
「おそ松さんたち!!カラ松のお母さん!私に力を貸して!!カラ松をシャドウから、取り返すの!!」
『でも僕たち、君にひどいことを………』
「今はそんなこと、言ってる場合じゃないでしょ?!カラ松をシャドウにくれてやるなんて、冗談じゃないわ!!十四松さん!」
『あいあい!』
「この柵、壊せる?」
『やってみマッスル!!』
バットが勢いよく回り、柵にぶつかる。人一人ようやく通れるくらいに壊れた。
「ありがとう!私、カラ松のもとへ飛んでみる!カラ松を奪い返すの!!」
『私も力を貸すわ』
「お母さん!ありがとう!」
『おそ松たち、いくわよ!』
『分かった!俺たちの兄弟を、取り返すんだ!』
『行こう、おそ松兄さん!!』
『○○ちゃんに力を!!』
『今度こそ、カラ松を助けるんだ!!』
『○○ちゃん、カラ松兄さんを頼むね?!』
「任せて!」
「ははははは!!無駄だ、無駄だ!!もう何もかも、遅すぎるんだ!!」
「そんなこと、ない!!」
「お前も俺の邪魔をするなら、容赦はせん!」
右手が上がると割れた窓ガラスの破片が○○に向かって行こうとする。俺は左手でそれを止めた。
「っく……!!シャドウ、お前の思い通りには……っ!させないぞ!!」
「おのれ、邪魔をするな!!」
「カラ松!!今、そっちに行くわ!!」
○○が壊れた柵の間から、思い切りジャンプした。だが助走が足りず、俺まで届かない。
「ああ…っ!」
その時、風が吹いて○○の後押しをした。○○が俺に抱きつく。
「離せ!お前もこの屋敷に、取り込むぞ!!」
「やれるもんなら、やってみなさいよ!!私、負けないんだから!私の大好きなカラ松を、返して!」
「……○○…っ!」
「負けないで!!」