第5章 事の真相
「カラ松。私ね」
何度も言おうとしていた台詞だ。俺は黙って聞くことにした。
「私、カラ松のことが好き。大好きよ」
「○○!!俺も、お前が好きだ!愛してる!」
○○は俺の背中に手を回し、泣いた。
「柱時計が教えてくれたわ。カラ松とカラ松の兄弟たちの話」
「えっ?」
「私のシャドウが、私たちをこの屋敷に連れてきたこと。閉じ込めたのも私のシャドウ。このままだと、カラ松にまで危害を加えてしまうって」
「な………っ!!それは違うぞ!お前のシャドウが出てきたんなら、それは兄弟…いや、あいつらのせいだ!お前は何も悪くないのにお前をいじめて追い詰めたた、あいつらのせいだ!」
そうだ。俺の○○を傷つけて、なに食わぬ顔で被害者ぶるような奴らなど、兄弟でも何でもない!
だが○○は、首を横に振った。
「シャドウが出てきたのは、私が弱いせい。カラ松。私を置いて逃げて。カラ松を傷つけたくないの」
「馬鹿なことを言うな!!二人で逃げるんだ!○○がいないと俺は、真っ直ぐ歩くことも出来ない!お前が必要なんだ!」
「私、カラ松に会えて幸せだった。とんでもないコーデする時もあるけど、あれはやめてね?光がラメに反射して、目が痛いから。私は、このままシャドウに飲み込まれるの。だからカラ松。そうなる前に私を殺して」
○○はボロボロと涙をこぼしながら、真っ直ぐ俺を見て訴えた。だがそんなこと、出来るはずがない。
「大丈夫だ。俺が何とかする!だから、俺の側にいてくれ!」
こんな健気な○○を、ここまで追い詰めるとは……!俺の、あいつらに対する怒りが、ますます強くなる。
俺は屋敷に向かって、叫んだ。
「おそ松!チョロ松!一松!十四松!トド松!!俺なら、何を言われてもかまわない!だが、○○をここまで傷つけたことは、許さん!!」
いきなり強い風が吹いて、俺と○○は吹き飛ばされた。離さないようにしっかり抱き締める。
バタン
俺たちは一つの部屋に入れられた。ドアが優しく閉じる。入れられたんじゃない、守られているようだった。そこには人形があった。
「私、この子覚えてる。カラ松の兄弟にいじめられてた時、ごめんなさいって、おばさんがくれたの。でも、持って帰らなかった。持って帰れなかった」