第5章 事の真相
『一旦出てくると、不思議な現象が起こるんだ。本人が意識してやってないから、どうしようもない』
『二重人格ってあるだろ。あれはシャドウが表に出やすくなってるから、そうなる』
「だがなぜそこで、○○が出てくるんだ?」
『父さんの浮気相手の子供が、彼女なんだ』
「何だって?!」
『あの時俺たち、彼女がカラ松を奪ったって、本気で思ってたからな』
『ひどいこと、言っちゃったよね』
バキッ!!
「つまりはお前たちが、そこまで○○を追い詰めたってことか?!」
『いやー、悪かったと思ってるよ?思ってるけどさ?そこまで怒らなくても、よくね?子供なら、よくあることじゃん』
バリーン!!
窓ガラスが割れた。だが、驚きはない。それよりも、この兄弟たちに対する怒りの方が、勝っていた。
「お前ら……!!○○がどれだけ悲しかったか、考えもしないのか?!○○はな、ずっと俺を支えてくれてたんだぞ?!俺はずっと、一人で淋しい想いをしていた!今、全てを思い出したぞ!あの日、俺はお前たちと離ればなれにされて、すごく淋しかった!悲しかった!俺はもう要らないんだと、そう思った!そんな俺に光を与えてくれたのが、○○だ!それをお前らが……!!」
ガタガタ ガタガタ
屋敷が揺れる。下で何かが倒れる音がする。
「きゃぁっ!!」
「!!○○!!」
『行くな、カラ松!!』
「うるさい!お前らに、俺の気持ちが分かってたまるか!!俺は○○を、愛してるんだ!!」
ドアを蹴破り、○○のもとへ走った。
「○○!!どこだ?!」
「カラ松!」
声の方を見て俺は、気が狂いそうになった。虎の敷物が、○○に襲いかかろうとしている。
「俺の女に何をする?!」
後ろから回り込み、首を掴んだ。もう片方の手で胴体を掴み、そのまま暖炉にくべてやった。急いで○○のそばに行く。
「大丈夫か?」
○○の顔は、涙でグシャグシャだった。
「帰ろうとしたけど、やっぱり出来なかった。カラ松を置いてなんか、行けないよ…。どうしようかと思ってうろうろしてたら、急にあの虎が…!」
○○を抱き締める。やはり○○は、今でも俺を支えてくれる。心に暖かな光を与えてくれる。