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[おそ松さん]松切草(カラ松視点)

第5章 事の真相


日記を開く。大人の女性らしい、綺麗な字だ。

結婚して子供が出来た喜びと、6つ子だったという戸惑い。初めての子育ての苦労、それでも子供の無邪気な姿に癒される日々。大変だがとても幸せそうな内容だ。

が、ある日を境に状況が一変する。父さんが浮気をし始めたようだ。泣く俺たちに怒鳴る父さんと、俺たちを守る母さんの攻防。そしてついに母さんは、俺を養子に出した。それが今の両親というわけか。ということは、ここから先は俺が知らないことだ。

父さんが浮気相手を連れてきたことで、事態はさらに悪化する。浮気相手には子供がいてその子も一緒に来たが、兄弟たちに歓迎されるどころか、俺がいなくなったのはその子のせいだと兄弟たちが言い始めたとある。
 
『今思えば、悪いことしちゃったよね』

『悲しかっただろうね』

『今さらだけど、ごめんなさいしたい!』

『でもさ、あのあとからなんだよな。家がおかしくなったのって』

『ほら、カラ松兄さん。続き、続き』

「ああ」

十四松に促され、読み進める。

花瓶やお皿が、触ってもいないのに割れたり、物が倒れたりするようになったようだ。それも決まって、兄弟たちがいる時に。一番ひどかったのは、兄弟たちの誕生日パーティーだったそうだ。兄弟たちが吹き消そうとしたロウソクがいきなり強く燃え上がり、もう少しでおそ松が火傷を追うところだったらしい。

『あれは怖かったよな』

『うんうん』

恐ろしさのあまり、父さんは浮気相手の所から帰らなくなり、一松が姿を消した。代わりにあの猫が来たそうだ。一松の名前を呼ぶと返事をしたのが信じられず、何度も名前を呼んだが、やはり猫が返事をする。それでこの猫は一松だという結論になったという。
 
「一松…」

撫でようとしたが嫌がられた。その時だった。

バシン!バシン!

大きな音がした。

『あの女だ!』

『カラ松、悪いことは言わない。あの女と別れろ』

「何を言うんだ!○○は俺の大切な人だぞ?!」

『お前らがここに来たのも、この屋敷に閉じ込められてるのも、全部あの女のせいだよ』

「どういうことだ?!説明しろ!」

バシン!バシン!

『俺たちがいじめたせいで、あの女の中のシャドウが動き始めたんだ!』

「シャドウ?」

『シャドウは誰もが持ってる、人の潜在意識の奥底にある、もう一人の自分だよ』





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