第4章 2階の探索
ピリリリリ ピリリリリ
どこからか携帯の着信音が聞こえる。
「ここか?!」
その部屋の前に立つと、○○が俺の腕を掴み、引き留めた。
「カラ松……。私、怖い…。帰ろ?」
「俺だって、怖いさ。だが、謎は突き止めたいだろ?!」
「もういいわよ!出ましょう?!」
いつもなら、謎解きには目を輝かせて参加するのに…。それに、時折見せる鬼の顔。あれは、一体…?
「どうしたんだよ?今日の○○、おかしいぞ」
「おかしいのは、この屋敷よ!きっとこの屋敷に、食われてしまうんだわ!」
ゴロゴロゴロゴロ
パチンコ玉がまた動いた。
『違う』
「この屋敷は、俺たちに何かを教えようとしてるんだ!」
『携帯を見ろ』
「ほら!」
だが○○は、鬼のような形相で俺をにらんだ。その目付きに殺意を感じ、ゾッとする。
「カラ松は私より、このわけのわからない屋敷を信じるのね?!もういい!私一人で帰る!!」
○○は走り出そうとした。それを抱きしめて止める。
「落ち着けって!!一人でどうやって帰るつもりだ?!」
「離して!離してよ!」
次の瞬間。○○の顔が鬼になった。
「離せ!!」
その声は、○○の声ではなかった。しわがれた、老婆のような声だった。驚いて手を離してしまった隙に、○○は廊下を走った。何故か追いかける気がしなかった。
あんなに取り乱した○○を見るのは初めてだ。どうにかしてやりたい。だが、○○の中に鬼がいる。あれは何だ?!
ピリリリリ ピリリリリ
携帯が鳴っている。俺はドアを開けて、携帯を見た。
『カラ松兄さん、会いたかった』
「兄さん?!お前は……トド松か?!」
俺の頭に、昔の記憶が甦る。そうだ、俺はこの屋敷にいた。他にも何人かいた。
『母さんの日記を見て。僕らも真相が知りたい。僕らは屋敷の物に取り込まれて、動けないんだ』
「わかった。あのミイラが母さんなんだな?」
『うん』
俺は携帯を手にして、ミイラの部屋に入った。パチンコ玉とバット、紫猫もついてきた。
「おそ松と十四松、一松か」
『ああ』
「チョロ松はどうした?」
『チョロ松兄さんは、柱時計だよ』
「なぜそんなことに…?」
『母さんの日記を見れば、分かるかも』
「よし、読むぞ」