第4章 2階の探索
○○がうっとりした顔で俺を見る。そんな場合じゃないが、照れ臭い。
武器になるかと思い、バットを手にした。14と書いてある。俺の頭が傷んだ。
「ううっ!!」
「大丈夫?!」
「頭が、痛い…!」
悶絶するほどの痛みだ。頭を抱えてうずくまる。○○はなすすべもなく、おろおろするばかりだ。仕方ないことだ。
「このバットは……!弟の……!」
「ええっ?!カラ松は一人っ子でしょ?!弟なんて、いないはずよ?!」
「この、記憶は……っ!!」
ニャー!!
今度は猫が、○○に襲いかかった。さっきの紫猫だ。あの時は何もしなかったのに…!!○○が振り払うと、逃げていった。
「猫……ああっ!!弟の…、猫…!!」
「カラ松、しっかりして!!」
「俺は…!俺は一体……!!」
「カラ松!!」
○○に抱きしめられ、俺の頭痛が少し和らいだように思えた。
「さっきのミイラの部屋に、日記があったはずだ」
「え?そんなの、あったの?」
「ああ。ミイラが持ってた。あれを読めば、謎が解けるかも知れない」
しばらく俺の顔を見ていた○○だったが、俺の決意が固いことを悟ったのか、うなずいた。
「わかったわ。一緒に見ましょう」
二人でミイラの部屋に向かう。が、電気がチカチカし始め、ついには消えてしまった。
「くそっ、行かせないつもりか!」
バラバラバラバラ
足元に転がる、無数の小さなもの。手に取ると、玉のようだった。
カチッ ボッ
○○が持っていたライターをつけてくれた。
「え?お前、ライターなんて持ってたのか?タバコも吸わないのに?」
「いいじゃない、別に」
そう言う○○の顔が、般若のように見えた。驚いて見直すと、いつもと変わらない○○の顔だ。色々あって疲れたんだろう。
「まあ、見えるからいいけど」
俺は話を合わせることにした。
見ればそれは、パチンコの玉だった。ただ事じゃない。問題はどこからこの玉が転がってきたか、ではない。玉が文字を形どっていることだ。
『逃げろ』
そう見える。だが、どうやって?!窓もドアも、開かないというのに。
「カラ松。日記なんて、もういいわ。逃げましょう?!」
「どうやってだ?どこから逃げることができる?!」