第4章 2階の探索
俺も猫に触ろうとしたが、可愛げなく逃げていった。
「あーあ、行っちゃった」
「家の人、2階にいるかも知れないぞ」
悔し紛れに話題を変える。俺も猫、触りたかった…。
「そうね、行ってみよう!」
階段を昇るたび、ギシッ、ギシッと音を立てる。相当古いな。だがやはり、誰かが住んでいる。証拠として、ホコリがたまっていない。
2階にもたくさん部屋があった。
「誰かいますか?!」
「すみませーん」
返事はない。
「あくまでも居留守を使う気か」
「私たち、閉じ込められたんです!家に帰りたいの!」
○○が俺にしがみついたまま、声をかける。ドアの一つをノックして、開けてみた。
「あ……」
「女性の部屋ね」
化粧台と化粧品、くし。それらで身なりを整えていたんだろう。壁際のベッドが膨らんでいる。
「誰か、寝てる…」
「えっ?!」
「あ、あの、すみません。何度も声をかけたんですが、返事がなかったものですから…」
「あの…」
布団の上からポンポンと叩いてみる。
「えっ」
固い。意を決して布団をめくるとそこには、干からびてミイラになった女性がいた。
「きゃああああああっ!!」
「うわぁあああああっ!!」
同時に部屋から飛び出る。
「し、死んでた!」
「た、確かに死んでた!てか、干からびてた!」
「孤独死…」
「でも、腐敗臭はしなかったぞ」
「確かにそうね」
「作り物とか」
「あり得るかも!だって、私たちを閉じ込めて、楽しんでるような人だもん!」
俺たちはもう一度、にミイラを確かめることにした。
布団を全部めくって、しげしげと眺める。
「偽物でもこんな精巧に作れるもんかな」
「今の技術なら、可能だと思うけど」
見るとミイラの側に日記があった。○○がそれを手に取る。表紙に手をかけたとたん。
ヒュン!!
音を立ててバットが飛んできた。とっさに○○をかばう。
「きゃあっ!」
「○○!!」
「あ、ありがとう。カラ松」
「無事か?」
「うん。カラ松のおかげ」
バットが飛んできた方向を見るが、ちょうど影になって見えない。だが、犯人がいるはずだ。
「卑怯だぞ!隠れてないで、出てこい!俺の○○に危害を加えるつもりなら、容赦はしない!」
「…かっこいい…」