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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第159章 ◇第百五十八話◇運命の日の前夜も貴方を愛する【運命の決戦編】


明日、本当はみんなで帰って来たい。
でも、それは口には出せない。
言わなくたって、みんなが同じことを思っていることだから。
言ってしまったら、叶わなくなってしまいそうだから。
言ったところで、何も変わらないことは、分かっているからー。
だからー。

「あ!流れ星っ!!」

落ちていく星を指さそうとして、私は慌てて両手を重ねた。
瞳を閉じて願うのは、ひとつだけー。
誰もが優しくいられる美しい世界が来ますように。
明日の幸せを何の疑いもなく信じられる世界で、みんなが笑って暮らせる世界がいいー。
そこには、もちろん巨人はいないし、巨人になれる人間だっていない。
みんなが平等で、みんなが幸せに笑ってる。そんな世界。
あぁ、こんなことを願わなきゃいけないこと自体が、間違っているこんな世界はもう終わりにしよう。
だって、それって本当は、この世界が当然あるべき姿なんじゃないだろうか。
誰もが笑って幸せでいるーそれを夢見ることを馬鹿げていると嘲笑われる世界こそが、間違っているのだ。
どんな目的で人間が巨人にならなきゃいけなかったのか、何を知っても私は納得できないと思う。
どんな理由も、アニやコニー達が地獄を味わっても仕方なかったことにはならないから。
だからどうか、もう誰も巨人にならなくていい世界をー。
瞼を上げれば、もちろんもう、そこには流れ星はなかった。

「私のお願い、聞こえたかな?」
「あぁ、ちゃんと届いてた。」

リヴァイ兵長は、まるで確信しているように言う。
私の全てを受け入れてくれる優しい声色は、恐怖と不安に震えそうになる心に、強く生きる決意を固めさせてくれる。

「それで、願いはもちろん、俺のことだろう?」
「…あ。」
「チッ。」

リヴァイ兵長の舌打ちに、慌てて謝る。
でも、私もリヴァイ兵長も、本当は知っている。
これはただの口実でー。

「愛してる、リヴァイ。」
「仕方ねぇな。許してやるよ。」

思い通りになって満足気のリヴァイ兵長は、塀に飛び乗ると私の隣に座った。
私の頬に触れて、今度は仲直りのキスー。
そっと唇が離れれば、おでこを重ねて見つめ合う。
優しい月が、私達の今を照らすように輝いてー。
私の願い事を問うリヴァイ兵長にも教えてあげた。
叶えてくれると言ってくれた。
リヴァイ兵長ならきっと、私の夢も願いも全て叶えてくれると信じてるー。
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