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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第139章 ◇第百三十八話◇花嫁をおくる涙の結婚式【女型の巨人編】


「フィデリオさん、その方達は?」

彼に声をかけてきたのは、老婦人だった。
少し疲れたような印象は受けたが、髪を綺麗にまとめていて堂々と背筋を伸ばして立っている姿は、とてもフロリアンに似ていた。

「あぁ、お義母さん。彼女達はフロリアンの友人で、同じ調査兵の方達なんです。
 フロリアンのためにってー。」
「帰ってください!」

彼が言い切る前に、フロリアンの母親は私達に冷たく言い放った。
その声を聞きつけた彼女の親族が続々と集まる。そして、彼らも又、調査兵団の兵士の顔なんか見たくないと罵り始める。
あの日のルルの両親と彼らが重なった。
あぁ、これからもずっと調査兵団に身を置き続ける限り、こんな瞳を何度も何度も向けられることになるのだろうか。
それでも、残された私達に出来ることなんて、あまりにも少なすぎるのだ。
だからせめてー。
私が頭を下げると、マレーネ達も一緒に頭を下げた。

「お母様の、皆様のお怒りも重々承知しております。
 葬儀への出席は認めてもらえなくても構いません。
 せめて、最後にフロリアンの為にできることを、私達にー。」
「分かるわけがないでしょう!?」

気づいたら、私は床に倒れていた。
フロリアンの母親に、突き飛ばされたらしい。
マレーネ達も他の親族に同じようなことをされたのか、床に倒れ、持ってきていたウェディングドレスやメイク道具が散乱していた。

「これは…、アンタ達…、私達を馬鹿にしに来たの!?
 今日はあの娘の葬儀なのよ!?それなのに、こんなものをー。」
「違います!!」

声を張り上げたのは、フロリアンの彼だった。
みんなが一様に驚き、視線が彼に集まる。

「今日は…、僕とフロリアンの結婚式です…!
 今日は、僕達の…っ、結婚式なんだ…っ。」

そう、本当だったら今日、彼女は世界一幸せな花嫁になるはずだった。
心から愛する人の隣で、彼女は誰よりも綺麗な笑顔を振りまいていたはずだったのにー。
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