• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第132章 ◇第百三十一話◇互いの胸の内【女型の巨人編】


壁外調査前の廊下は、緊張感が漂っていて、リヴァイが怖い顔で歩いていても、不自然ではなかった。
ちゃんと向き合えー。
そんなことは分かっている。おそらく、も分かっている。
でも、それが出来ずに、自分の胸の内を隠したまま過ごしていくうちに、自分達ではどうしようも出来ないくらいに大きな溝が出来てしまった。
そう、あれはきっかけだ。その前から、2人の間には綻びがあった。
それを作ったのは、自分だという自覚もある。
もし、結婚したいと言えば、今の関係は少しは改善するだろうか。
ふと、そんな考えがリヴァイの頭に過る。
でもすぐに却下される。
結婚をして、それからどうなる。
死ぬ気でを守ることは変わらない。誰よりも愛しているということも、それが一生続くことも変わらない。
でも、自分が死んだ後のの人生は大きく変わる。
恋人が死んだのであれば、自分のことなんて忘れて新しい恋をすればいい。
でも、結婚相手が死んだら、彼女はきっと一生縛られる。
他の誰かを愛することも、新しい幸せを見つけることも出来ずにー。
それは本当に、一番クソな未来だ。
には幸せになってほしい。
せめて、喧嘩でも出来ればよかったのかもしれない。
胸の内をさらけ出してー。
いや、無理だ。
今、の気持ちを聞けば、正気でいられる気がしない。
失いたくない。
あぁ、どうしてこの世界は残酷なのだろうか。
なぜ、兵士なのだろうか。
もしも、もっと平和な世界で出逢えていたのなら、自信を持って指輪を贈れたかもしれない。
赤ん坊を抱くを見れたかもしれないし、あの美味しい料理を毎日食べられたのかもしれない。
そんな未来を、想像するだけじゃなくて、現実として生きて行けたかもしれないのにー。

「あ、おかえりなさい。会議、お疲れさまでした。」

自分の部屋ではなくて、の部屋の扉を開ければ、それに困ったような素振りもなく、むしろそれが自然であるかのように、は笑顔を見せてくれる。
今は、それだけでいいー。
その思いが、を苦しめて、傷つけていることも知らないで、また自分勝手に彼女を腕の中に閉じ込めたー。


/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp