• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第132章 ◇第百三十一話◇互いの胸の内【女型の巨人編】


壁外調査を明後日に控えたその日も、私とリヴァイ兵長が恋人同士であることに変わりはなかった。
リヴァイ兵長の話を信じるのならば、あれからカラネス区の有力者の一人娘から連絡が来ることもなかった。
だから、私とリヴァイ兵長は穏やかに毎日を過ごしていた。
でも、私とリヴァイ兵長の心には、いつも風が吹いていて、ざわついていたと思う。

「手紙か?」

自室のデスクで手紙を書いていると、リヴァイ兵長が部屋に入ってきた。
デスクに寄り掛かり、私の手元を覗き込んだリヴァイ兵長は、白い翼のティーカップをデスクの上にそっと置くと、黒い翼のティーカップは自分の口に運んだ。
礼を言ってから、私もペンを置いて、ティーカップを手に取る。

「このブレスレットの娘から手紙が来たんです。」
「あぁ、エレンの同期の憲兵か。」
「はい、私が壁外調査に行くのがとても心配みたいで。」

アニからもらった手紙を手に取れば、短いメッセージに何度も胸が痛くなる。

≪行かないでほしい。≫

私が前回の壁外調査でつらい思いをしたことを知っているからかもしれない。
必ず生きて帰ると綴った私の返事は、明日の朝出せば、早くて明日の夜、遅くとも翌日、壁外調査前日の朝には届くはずだ。

「まぁ、普通の反応だな。」
「そうですね。たぶん、アニは、私に調査兵団を辞めてほしいんじゃないかな…。」
「それも普通だな。」
「ふふ、そうですね。だから、私は両親に嘘を吐いてー。
 あ、そういえば、リヴァイ兵長と恋人になれたって言ったときも・・・。」

途中まで言って、私は先を言葉にできなかった。
リヴァイ兵長と恋人になるべきではないー、アニの態度はそう言っているみたいだった。
少し前の私だったら、それでも私はリヴァイ兵長が好きだ、と困ったように笑えただろう。
でも、今はもう自信がない。
アニが正しいような気がしてー。

「俺がどうかしたのか。」
「いえ、リヴァイ兵長と恋人になれてよかったねって。
 お幸せにって言われました。」
「…そうか。ならよかった。」

リヴァイ兵長と私は、ほぼ同時にティーカップを口に運んだ。
あぁ、私達はまた嘘を吐いた。
そして、それが嘘だと気づいていながら、信じたフリをする。
理解力のある大人にでもなったつもりで、恋人の間違いを飲み込んだフリをする。
本当はずっと、喉の奥で引っかかっているくせにー。
/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp