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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第124章 ◇第百二十三話◇パパとママにさようなら【女型の巨人編】


ゴクゴクと音が聞こえてきそうな飲みっぷりは、何度見ても、本当にすごいと感心する。
まだ喋れないのに、生きたい!と大声で叫んでいるみたいだ。

「今日、迎えが来なかったら本当に…。」
「あぁ、乳児院に連れて行く。」
「お母さんに何かあったのかもしれないですし、もう少しだけ待ってあげましょうよ。
 私、1人で頑張りますよ。リヴァイ兵長には迷惑かけません。」
「そういうことじゃねぇ。壁外調査前の大事な時期に、
 いつまでもお前を赤ん坊につきっきりにするわけにはいかねぇんだ。
 生きて帰るためには、訓練が必要だ。それに俺達は、もうだいぶ待った。」
「…そうですね。」

リヴァイ兵長の言う通りだ。私も分かっている。
ヨシュカと散歩に出て、訓練をしている仲間達を見る度に、焦りを感じていた。
それでもー。
人類最強の兵士が作ってくれたミルクを勢いよく飲み干そうとしているヨシュカを見つめながら、私はため息を飲み込む。
私が悲しい顔をしたら、なぜか泣き出してしまうヨシュカのために、無理に作った笑顔で頬を撫でた。
最初から、母親は、迎えに来るつもりはなかったのだろうか。
こんな混沌とした世界で、母親1人で赤ちゃんを育てるのは大変だっただろう。
1週間と少し、ママの真似事をしただけの私だけれど、その苦労は少しくらいは理解したつもりだ。
逃げ出したいと苦しくなる気持ちが生まれるのも仕方がないのかもしれない。
でも、それ以上に、この子はこんなに可愛いのにー。
生命力に溢れたこの子を見ていたら、今日も生きよう、明日も生きよう、そう、思えるのにー。
リヴァイ兵長の優しい手が撫でたのは、母親に捨てられたかもしれないヨシュカではなくて、私の方だった。
ミルクを飲み終えたヨシュカを抱きしめる。
私の胸元にしがみつく小さな手。小さいのに力強い、可愛らしい手。
この手を、どうして離してしまったのー。
この子が掴みたいのは、掴んでほしいのは、きっと、パパとママなのにー。
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