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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第108章 ◇第百七話◇霧と雨が阻む帰り道【恋の行方編】


白く濃い霧と土砂降りの雨は、テュランと私の行く道を阻み続けた。
脚力のあるテュランは速度もトップクラスだが、雨に濡れた地面が邪魔していつもの実力を発揮することも出来ない。
その上、霧と雨がテュランの方向感覚を失わせた。
本隊とすぐに合流できるなんて、考えが甘すぎたようで、いつか見えると思っていた信煙弾も上がらない。
そもそもこの霧で、どこかで上がっていたとしても見えるとも思えない。
完全に、孤立してしまったー。
それでも、ここに来るまで巨人に出くわさなかったのは不幸中の幸いだ。
この霧が行く手を阻みながらも、巨人から自分達の姿を隠してくれているのだろう。

(ここは何処…?)

ようやく草原を抜け、辿り着いたのは見覚えのない街だった。
ウォール・マリア内の街なのだろうが、カラネス区から出たときに見た街とは違うのが、なんとなく建物の様子で分かる。
ということは、完全に違う場所へ馬を走らせてしまっていたということだ。
また草原の方に戻って、方向を確認するか。
でも、立体起動装置の使えない草原に戻るよりは、どこか分からない街を走り続けた方が安全な気もする。
それに、草原に戻る時間もない。
ただ、この白い霧と建物が、巨人から私を隠してくれているように、私からも巨人の姿を隠しているのも事実ー。
この状態が続けば、いつ巨人が突然現れるか分からないー。

「…ひっ!?」

恐怖に顔を引きつらせ、私から小さな悲鳴にも似た声が漏れる。
無意識に手綱を引っ張れば、テュランの脚が濡れた地面を滑りながら止まった。

(嘘でしょ…。)

最悪だ。
私が想像出来る上で最も悪い事態が、起きてしまったー。
建物の陰、白い霧の向こうから、気持ちの悪い笑顔を浮かべて飛び出してきた巨人は、前に3体、右に2体、左にも2体。
いつの間にか囲まれていたらしい。

「見えるところで待ってて。」

巨人から視線を外さないままで、テュランの首を撫でる。
立体起動装置のレバーを引いて、右の建物へアンカーを飛ばしたタイミングでテュランが走り出した。
よし、いい子ー。

「時間がないの。一瞬で片付けるから。」

一気に飛び上がり、鞘から超硬質スチールを抜き出した。
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