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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第103章 ◇第百二話◇夜の逢瀬を【恋の行方編】


でもー。

「でも、なんでかなぁと思って。」
「奇行種が俺を探してる。」

リヴァイ兵長が、私を引き寄せて強く抱きしめた。
まるで、誰かから宝物を隠すみたいな仕草と、唐突に不機嫌なオーラをまとったリヴァイ兵長に、私は首を傾げた。

「ハンジさんが?どうして?」

顔を上げて、リヴァイ兵長に訊ねる。

「会議を抜けてきた。」
「えッ!?なんでッ!?」

驚きすぎて、飛び起きた。
そんな私の大きな動きに驚きもしないで、リヴァイ兵長は私の手を引いて、腕の中に戻す。
そして、痛いくらいに強く抱きしめてから答えてくれた。

「あんなクソ会議、やってられねぇ。」

何を協議した会議だったのかはわからないけれど、リヴァイ兵長にとってはクソな内容だったようだ。
でも、だからといって会議を抜けてきていいのだろうか。
いや、絶対にダメだ。

「それでも、会議には出た方がいいとー。」
「俺の意見を通すなら、残ってやってもいいと言った。
 それを聞かなかったエルヴィンが悪ぃ。」

まるで小さな子供が駄々をこねているみたいだ。
でも、エルヴィン団長が言ってきかなかったリヴァイ兵長を私が説得できるわけがない。

「私の部屋にいることも、すぐバレちゃいますよ、きっと。」
「俺がいて、ナニしてるかわからねぇ部屋に勝手に入ってくるような
 非常識な真似はしねぇよ。」
「…たぶん、しますよ。ハンジさんなら。」
「…ああ、するな。ハンジなら。」

この5分後、ハンジさんは本当にやってきて、ノックなしに扉を開いた。
そして、ベッドの上で駄々をこねるリヴァイ兵長の説得に失敗して、うなだれて帰って行った。
今日の会議はとりあえず延期して、明日また協議することになったようだった。

「誰が出てやるか、クソが。」
「…いいんですか、本当に?」
「寝る。」

リヴァイ兵長は眉間に皺を寄せたままで、目を閉じた。
一体、何の協議なのだろう。
まぁ、なんでもいいか。
そのおかげでー。

「おやすみなさい。」

リヴァイ兵長の額にそっと唇を落とす。
すぐに、閉じたはずの瞼が開いた。

「場所、間違ってるぞ。」

今度は、リヴァイ兵長が正解の場所に唇を落とした。
幸せな夜だ。
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