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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第98章 ◇第九十七話◇悪魔との交渉【恋の行方編】


あの頃、柔らかい頬は自分が触れるためだけに存在していた。
触れる度に頬を染めるのが愛おしかったが、冷たくルーカスの手を振りほどく。
もう、自分のものではないのだと、思い知って、やっぱり最低な気分になる。
早く、死んでくれればいいのにー。

「リヴァイ兵長には、あなたに会いに来てることを伝えてないの。」
「へぇ、君もひどいことをするね。
 こっそり、昔の男に会いに来るなんて。
 まぁ、そのおかげで、俺は君を力づくで取り戻せそうだ。」

ルーカスは、の腰を抱き寄せた。
そして、無理やり唇を奪おうと近づけたとき、が髪留めを引き抜いた。
太陽に反射して光ったソレが、髪留めに仕込まれたナイフの刃だと気づいた時には、自慢の金色の髪が宙を舞っていた。

「それ以上近づいたら、今度はその綺麗な顔にコレで絵を描くわ。」
「…残念だよ。」

小さくため息をついて、ルーカスはから離れる。
曲がりなりにもは調査兵団の兵士だ。
武器を仕込んできていないか身体検査をしておくように執事には伝えておいたのだが、まさか髪留めにまでは気を配れなかったのだろう。
後で、お仕置きが必要だー。

「それで、お願いというのは何かな?
 まさか、僕に自首しろとは言わないよね。」

小馬鹿にするように言って、ルーカスは出窓に腰を降ろした。
足を組み、片方の口の端を上げる。
たったひとりで、小さな武器を持って乗り込んできたじゃじゃ馬姫様の挑戦、受けて立ってやろうじゃないかー。

「ルーカスには、今まで通り、真犯人の役をモーリに押し付けて
 優雅に生活してもらって構わない。
 私もその方が都合がいいから。」

意外なの言葉に、ルーカスの眉が思わず上がる。
罪を認めろだとか、罪を償えだとか、くだらない説教を始めるのだとばかり思っていた。
でも、のお願いというのが、分かった気がした。

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