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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第93章 ◇第九十二話◇美しい世界を貴方と生きる【恋の行方編】


自分の執務室兼自室に戻ったリヴァイ兵長は、私をソファに座らせた。
盗み聞きしてしまったミケ分隊長の話とか、ジーニー達の怒りの言葉とか、さっきのリヴァイ兵長の言動とかー。
頭がうまく回転していなくて、テーブルの上に置いてある食事が手つかずの状態なことに気が付いて、まだお腹空いてないのかな、なんて空気を読まないことを考えていた。

「怪我はねぇか?」
「え?あ、はい。大丈夫です、ありがとうございました。」

隣に座ったリヴァイ兵長に訊ねられて、私は少し早口で答え頭を下げた。
背中が痛い気がするけど、それもよくわからないくらい、頭が真っ白だった。
でも、聞きたいと恋心が疼いていた。
さっきの言葉の、続きをー。

「リヴァイ兵長、さっきのは…、いつもの、冗談ですか?
 それとも、私を守るために吐いた嘘、ですか?恋人のフリ、ですか?」

隣に座るリヴァイ兵長の顔をまっすぐに見て、私は訊ねる。
その表情の小さな変化も逃したくなくて、この恋を実らせるためにも、終わらせる、ためにもー。
それに、私はきっと、リヴァイ兵長にフラれ続け過ぎたんだと思う。
どんなに嬉しい言葉も、もう信じられなかった。
それでも、ほんのわずかな希望に賭けた恋心が、リヴァイ兵長が頷かないことを願っていた。

「俺は、」

リヴァイ兵長が口を開く。
私の目を見て、そして、気持ちを話そうとしてくれている。
これでフラれたら、私はもう本当に諦める。
今度こそ、諦める。
そして、罰を受けよう。ルーカスと一緒にー。
だから、どうかー。この恋に、ハッピーエンドをー。どうかー。
私は静かに、答えを待った。
自分の心臓の音が耳の奥で五月蠅い。
これでは、リヴァイ兵長の声が聞こえないと思ってしまうくらい。

「俺は、お前に幸せになってほしい。」

リヴァイ兵長は、私をまっすぐに見て、迷いなく告げた。
あぁ、恋が終わったー。

「そう、ですか。ありがとうござます。」

そっと、目を伏せて、私は心にもない礼を言う。
胸が苦しい。
何を期待していたのかと、自分が滑稽で可哀想でー。

「ちゃんと愛してくれる男のそばで、幸せになってほしい。
 そう思ってるのは、嘘じゃねぇ。」
「分かりました。もう大丈夫ですよ。
 私、リヴァイ兵長にそう思ってもらえるだけで、幸せですから。」

精一杯、微笑んだ。
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