【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第91章 ◇第九十話◇愛されるより愛したい、嘘、本当?【恋の行方編】
今日は、経過観察中の診察日だった。
リヴァイ兵長は、朝から医療棟で検査を受けている。
検査は午前中に終わる予定だが、その後に会議にも参加することになったので、リヴァイ兵長も久しぶりに忙しい一日を過ごしているはずだ。
私も久しぶりに訓練で、だいぶ体力が落ちていることを思い知らされた。
「が訓練に参加してるってことは、リヴァイ兵長の体調も良さそうだね。」
休憩に入り、木陰に座ってボーッとしているとペトラに声をかけられた。
彼女は、隣に腰を降ろし、優しく微笑む。
訓練場にやってきた私を見た調査兵達の反応は様々だった。
誘拐事件から無事に帰ってきたことを喜んでくれた人達もいたけれど、迷惑をかけた上、リヴァイ兵長にまで重傷を負わせる結果をもたらした私の行動を非難する目も少なくはなかった。
当然のことだと、私も思う。
「今日は検査の日なの。医療棟までは一緒に行ったんだけど、
医療兵の人達みんな、治りが早すぎるってビックリしてた。」
「さすがだね。」
「うん、さすがだね。」
私とペトラは顔を合わせて、クスクスと笑い合う。
本当によかった、リヴァイ兵長が必死に生きてくれて。
そのおかげで、私も、ペトラも、こうして笑顔でいられるのだからー。
「それで、ずーっとリヴァイ兵長と一緒にいて、
何か進展はあったかな?」
ペトラがニヤニヤと口の端を上げる。
面白い話を期待しているような瞳に、私は苦笑する。
「リヴァイ兵長のことが大好きです、とは言ったよ。」
「えっ!すごいじゃんっ!!それで、それで?」
「それだけ。」
「へ?」
「私の片想いなの、ずーっと。」
私は折り曲げた膝を自分の胸元に引き寄せると、膝の上に頬を乗せた。
訓練場の緑の短くカットされた芝生が、よく見ると、風にユラユラ揺れている。
今日は、風も気持ちがいいし、今日の検査の結果を見た医療兵から許可が出たら、リヴァイ兵長をお散歩に連れ出してあげたい。
リヴァイ兵長のカッコいい黒い愛馬も、きっと会いたいと思っているはずだ。
ペトラは、何も言わずに私の頭を優しく撫でる。
顔は見えないけれど、たぶん、きっと、とても切ない顔をしているのだと思う。
私と同じようにー。
「今から、ちょっといいか?」
声を掛けてきたのは、顔見知りの精鋭兵の1人だった。