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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第89章 ◇第八十八話◇ほんのひとときのハッピーエンド【恋の行方編】


扉が閉まるような音がして、夢の世界が幕を閉じ始める。
どこまでも続く暗闇を彷徨い続けた。
赤い炎から逃げて、逃げて、辿り着いたのはこの世で最も深い闇の中でー。
漸く、瞼の向こうに光を感じた。
その光を求めるように、私の瞼がゆっくりと上がっていけば、真っ白いシーツが見えた。
いつの間にか、眠っていたようだった。
朝が来たのか、病室が明るくなっている。
目をこすり、起き上がろうとして、ずっと繋いでいたはずのリヴァイ兵長の手がないことに気づく。
途端に、たとえようもない恐怖に襲われて、私は勢いよく身体を起こした。

「起きた途端、元気がいいな。」

リヴァイ兵長と、目が合った。
ベッドの上で上半身を起こして、座っている。
傷だらけの身体を包帯で巻いて、痛々しい姿をしている。
けれど、リヴァイ兵長がー。
信じられなくて、でも、信じたくて、私は自分の頬を思いっきりつねった。
どうしよう、痛い。すごく、痛いー。
泣きそうだ。

「…何やってんだ。」

呆れた顔のリヴァイ兵長が、私の知っているそのままでー。

「夢かと、思って…。」
「バカが。死なねぇと言っただろう。」

リヴァイ兵長の手が、私の頭に触れる。そして、乱暴にクシャクシャと撫でた。
ひどく懐かしく感じるそれに、胸が詰まる。

「死にそうだったんですよ…っ。よく息が出来てたって言われてー。」
「でも、死んでねぇ。俺は、ここにいる。」

私の頭を乱暴に撫でたリヴァイ兵長の手が、私の手に触れた。
そして、まるで、もう二度と解けないように糸をきつく結ぶみたいに、私の指に自分の指を絡めてくる。
私も強く握り返し、その温もりを、感触を確かめる。

「ありがとう…、ございます…。
 守ってくれて…、生きて、くれて…。本当に…、ありがとうございます…。」

リヴァイ兵長が起きたら、伝えたかった言葉を、ちゃんと言えた。
私は、絡めたままのリヴァイ兵長の手で、自分の頬にそっと触れた。
私の涙が、ひどく熱いリヴァイ兵長の手を濡らしていく。
あぁ、確かに、ここにいる。リヴァイ兵長は、生きているー。

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