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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第84章 ◇第八十三話◇愛しい騎士を悲劇から救って【恋の行方編】


リヴァイ兵長が膝を床につけ見守る中で、モーリの側近が、私の両手を縛っていた紐を切った。
もう何時間も繋がれたままだった感覚の身体は少し痺れていたけれど、自由になった瞬間、私はリヴァイ兵長のシャツの胸元を握りしめていた。
雨の中、ここまで探しに来てくれたリヴァイ兵長は、頭の先からブーツの先までびしょ濡れだった。
雨が滴る黒髪の向こうで、切れ長の瞳が安心したように私を見るから、パーティー会場では凛々しかったタキシードは泥水が跳ねて汚れているし、白いシャツも濡れて肌にはりついていて、ひどく寒そうだからー。
悲しいのか、悔しいのか、それとも、来てくれて私も安心したのか。分からない感情が一度に湧きあがってきて、リヴァイ兵長のシャツを握りしめる手に力がこもった。

「帰ってください…っ!
 あんな馬鹿げた条件なんてのまないでください…っ!」

私は懇願した。
リヴァイ兵長の瞳を見つめて、必死に、懇願した。
だって、きっとモーリは、私のこともリヴァイ兵長のことも助ける気なんてない。
それなら、私は、リヴァイ兵長だけでも助かってほしいー。

『今から、コイツらがお前の女を好きにする。
 それが嫌なら、身体を張って守ってみろよ。
 夜明けまでお前が生きてたら、俺はこの女だけは助けてやると約束してやる。』

そんなの嘘に決まってるー。
モーリが出した交換条件は、最低で、信じる価値もない。
それなのにー。

「絶対動くなよ。」

リヴァイ兵長が身体を丸めるようにして私を腕の中に閉じ込めた。
しっとり濡れた冷たい身体が私の肌に触れる。
私を守るために、今からリヴァイ兵長が暴行を受けるなんてそんなの耐えられない。

「離してくださいっ!やめてくださいっ!!」
「動くなって言ってるだろーが。」

必死に身体を離そうとするけれど、私なんかの力では筋肉質な硬い胸板はピクリともしなかった。
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