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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第83章 ◇第八十二話◇魔法の呪文を唱えて【恋の行方編】


リヴァイ兵長は来ない、きっと、来ない。
分かっている。
ここがどこかなんて私にも分からないけれど、リヴァイ兵長が助けに来ないことなら分かる。

『俺が死んでもお前を守る。絶対にそばを離れるな。』

リヴァイ兵長の声が頭の中に響く。
せっかくそう言ってくれたのに、私はリヴァイ兵長の手を放して離れてしまった。
調査兵団の兵団服を着た男達に騙されて、馬車に乗った。
リヴァイ兵長は、絶対にそばを離れるなと忠告したのにー。それなのにー。
自業自得だ。
悔しさと悲しさ、リヴァイ兵長を信じられていなかった自分へのショックで、涙が止まらなかった。
それなのに、震える声から漏れるのはー。

「リヴァイ兵長…っ。」
「だーかーらー、ソイツはお前を助けに来ねぇんだってっ!
 強情な女だな。お前に呪文を唱えさせられたら、俺達の報酬もアップするんだよ。
 お前もいつまでも呪文唱えられねぇと、殺されるんだぜ?いいのか?」
「…っ、リヴァイ兵、長…っ。こわい…っ。助けて…っ。」
「はい、もうゲームオーバー。俺、もう止めねぇから。」

金髪の男は、私の脚を強引にこじ開けた。
強張るのに、震えが止まらない身体で、私は必死に首を横に振る。

「リヴァイ兵長…っ。」

魔法の呪文のように、私の唇からはリヴァイ兵長の名前ばかりが零れ落ちていく。
ここに助けに来てくれるリヴァイ兵長を想像もできないくせに、私を守ってくれた強くて優しい腕ばかり思い出してー。
強引に脚の間に入り込んできた金髪の男が、下着に手をかけたのが分かって、私は小さく悲鳴を上げた。
もう観念するしかないのかー。
それでも、こんな男達に身体を好きにされるのは嫌で、怖くて、私はギュッと目を瞑った。
そのとき、大きな爆発のような音がした。
驚いて目を開ければ、廃工場の大きな扉が倒れて落ちていくのが見えた。
廃工場内の灯りが、扉の前に立つ影を黒く光らせていた。
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