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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第78章 ◇第七十七話◇絵本の世界へようこそ【恋の行方編】


私は立ち止まり、腕から手を放してしまう。
1階のロビーも豪華だったし、この前のパーティーも豪華だった。
でも、今夜のパーティーは私の目と心を奪った。
幼い頃、母親に読んでもらった物語のお姫様が住んでいたお城のようだった。
豪華絢爛な装飾と見上げても高い天井から吊るされる大きなシャンデリア。
煌びやかなドレスを身に纏い踊る美しい貴婦人たち、そして彼女達を守るように寄り添う紳士達ー。

「俺が言いたいのは、」

リヴァイ兵長が振り向いて、私を見つめる。
そして、階段の上、王子様がお姫様に愛を囁くように、リヴァイ兵長が私の髪を耳にかけながら、耳元に口を近づけた。

「俺が死んでもお前を守る。絶対にそばを離れるな。」

耳元で響く低い声が、私の鼓膜の奥から湧きあがる熱を身体中に運ぶ。
そんな風に言われたら、勘違いしてしまいそうになる。
無神経な言葉で傷つけられたことも許してしまいそうになる。
嫌なこと全部、忘れてしまったー。
嫌いになろうと、思っていたのにー。

「わかったな。」

リヴァイ兵長は耳元から離れ、私を見て言う。
物語のお姫様の世界に迷い込んだみたいな気分で、意識がぼんやりする。
リヴァイ兵長は王子様って感じではないし、どちらかというと騎士のようでー。
そうだ、子供の頃に大好きだった絵本にそんな物語があった。
物語は、国中からの人気者で、優しくて素敵な王子様が、お姫様に恋をしたところから始まった。
次第に心を許していくお姫様だったけれど、実はその王子様の正体は、悪魔が化けた姿だった。
お姫様は騙されていて、その美しさと命を狙われていたのだ。
それに気づきお姫様を守る素敵な騎士ー、リヴァイ兵長はあの絵本の騎士に似ている。
私はあの騎士が大好きで、毎晩、寝る前になると、母親に何度も何度もあの絵本を読んでくれとせがんだんだっけー。

「おい、返事は。」
「…はい。」
「上出来だ。」

リヴァイ兵長は、満足気な顔をして私の頭を優しく撫でた。
そして、私の手をとり、腕を組ませた。
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