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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第78章 ◇第七十七話◇絵本の世界へようこそ【恋の行方編】


大きな爆発が起こる可能性もあるー。
それが起こるのなら、パーティー会場のような大きな場所はターゲットとして狙われやすい。
そういうエルヴィン団長の考えもあるのかもしれない。

(あぁ、だから…。)

リヴァイ兵長がわざわざこんな恋人役を引き受けた理由も、なんとなくわかった気がする。
ここで何かが起きたとき、エルヴィン団長と一緒にリヴァイ兵長もいたら心強い。
そんなことを思いながら、警備に当たっている調査兵達を見ていたら、その中にジャンの姿を見つけた。
彼も私達に気づいていたようで、目が合った。
でも、すぐに目を反らされてしまった。

「よし、行こうか。」

記帳を終えたエルヴィン団長が、ペンを置いた。
会場は入口から、1階の広いロビーを抜けて、階段を上がった先にあるらしい。

「俺の腕を組め。」
「…はい。」

躊躇いがちに、リヴァイ兵長の腕に私の手を回す。
それを確認して、エルヴィン団長が歩き出した。
その後ろを私とリヴァイ兵長は、まるで恋人同士のように寄り添って歩く。
でも、恋人同士に見えるのか自信はない。
だって、会場の中に入ろうとしている貴婦人や紳士は、幸せそうに顔を近づけて言葉を交わしているのに、私達は目も合わせようとしていないのだからー。
ぎこちない恋人同士のフリをしたままロビーを抜けて、真っ赤な絨毯が引いてある豪華な階段を上がる。

「聞け。」

リヴァイ兵長は前を向いて話す。
私は、ドレスの裾を踏まないようにーそれだけに意識を集中して階段を上がる。

「…何ですか。」
「俺に女はいねぇ。」
「…分かりました。もう、それでいいです。」
「いいからちゃんと聞け。」
「…。」
「いいか、俺は、今もこれからも、女を作る気はねぇ。
 だから、お前がダメなわけじゃねぇ。これは俺の問題なんだ。」
「…よくわかりません。」
「とにかく、俺に女なんかいねぇことをお前が知ってればいい。」
「もし、本当に恋人がいなくても、誤解されてる方が気楽なんじゃないですか。」
「他の女ならそれでいい。お前に誤解されるのは気に入らねぇ。」
「なん、ですか、それ…。そんなのー」

話している間に、階段を上りきっていたようだった。
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