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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第71章 ◇第七十話◇幸せを握り潰す君の手を愛したから【恋の行方編】


ルーカスの手に触れる直前で、私の手は止まる。
愚かな恋心が、理性にも欲望にも、私を織りなす全てに勝ってしまった瞬間だった。
でも、これがきっと、私が後悔しない方なのだろう。
私の背中を押してくれたリヴァイ兵長の一言を、好きな人を、私は信じたい。
ここにいてもいいと思ってくれているのだと、信じたい。

「ごめんなさい、ルーカス。その手は取れない。」
「どうしてっ。」

ルーカスは、ひどくショックを受けているようだった。
私も、自分の決断に、ショックを受けている。
どうして、ルーカスの手を掴めなかったのだろうと思う。
それが一番楽なのに。幸せになる近道なのに。
でも、私はもう逃げないと決めたからー。
大切な親友に、絶対に幸せになることを誓ったし、自分の心に嘘を吐かないことも誓った。
だから、逃げて幸せになるなんて、そんな道は、もう選べない。
頑なに首を縦に振らない私に、ルーカスは必死に、王都がどれだけ安全なのかを教えてくれる。
調査兵団に入団する前の私なら、とても魅力的に思ったはずだ。
王都は安全だと信じ切ったはずだ。
でもー。
私は、調査兵団に入団して知ってしまった。
この世界に安全な場所なんて、どこにもないのだということを。
いつだって巨人の脅威に晒されている、危険な世界なのだということを。
そして、そんな世界を守るために命を懸けて戦う強くて勇敢で、とても尊い命を輝かせるステキな人達の存在も、もう知ってしまったからー。

「お願いだ、。今は君が一番幸せだと思うことを考えてほしいんだよ。
 君はとても優しいから、彼らのことまで心配しているんだろうけど、
 そのために自分の命を捨てることはない。君は賢い子だろう?」

ルーカスは私の両肩を握りしめて、必死に説得しようとしていた。
彼の言っていることはすごくわかる。
とても、理解できる。
でもー。
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