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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第67章 ◇第六十六話◇ただの上司と部下【恋の行方編】


今日の私の任務は、巨人実験の結果をまとめるデスクワークだった。
ハンジさんの執務室兼自室で、ローテーブルにモブリットさんと並んで座って過去の分も合わせて書類を作成しては、デスク書類をまとめるハンジさんに渡すーという地道な作業を朝からずっと続けている。
この結果をもとに、巨人実験がいかに有意義なものなのかを王都に報告として提出し、また巨人実験を行えるようにお願いするのだ。

「ねぇ、ってさ。」

不意に、ハンジさんに声をかけられて、資料を見ながら寝そうになっていた顔を上げた。

「何ですか?」
「昔の婚約者のこと、まだ好き?」
「へ?」

大好きな研究のための資料を作っている最中に声をかけてくるものだから、どれだけ大切な話をされるのかと思っていた私は、恋話を振ってきたハンジさんに、ポカンと口を開けた間抜けな顔を晒してしまう。
モブリットさんが、隣で大きくため息をついている。
ほら、モブリットさんも、大切な仕事中になぜどうでもいい世間話を始めたのかと呆れているではないか。

「いや、ほらっ!無理やり私が調査兵団に誘ったせいで
 結婚がダメになっちゃったからさっ。」
「へぇ~、自覚はあったんですね。」
「あ…、いや…、まぁ、そりゃあ…。」

ハンジさんは途端にしどろもどろになるから、私が笑いながら、気にしなくていいと伝える。

「私、今、すごく楽しいですよ。
 調査兵団に入団してよかったって心から思ってるんです。
 ハンジさんに感謝してます。だから、本当に、気にしないでください。」

微笑む私に、ハンジさんはなぜか困ったような笑みを浮かべた。
そして、僅かに目を伏せた後、そのままで口を開く。

「私はさ、を調査兵団に入団させたことは後悔してないんだ。」
「それはよかったです。
 後悔してるなんて言ったら、許さないですよ。」

私が少し意地悪く言うと、ハンジさんは「それもそうだね。」と自虐的な笑みを浮かべる。

「ただ、はどうなのかなぁと思ってさ。
 最近、元気もなかったし、今ならを私達から掻っ攫うのは楽だろうな~って。」
「掻っ攫うって。」

言い回しが可笑しくて、私は笑ってしまう。
掻っ攫われるくらいの気持ちなら、一度、辞めることを許してもらえた調査兵団に、命を捧げる覚悟で戻っては来ない。


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