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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第66章 ◇第六十五話◇ブランケットの恋よ、さようなら【恋の行方編】


「リヴァイ兵長。」

名前を呼ぶと、靴音がピタリと止まった。
でも、違うとは言わない。
疑っていたわけではないけれど、信じられなかった。
靴音の主が、立ち止まったままどこへも行かないことを確認して、私はゆっくりと身体を起こした。
そして見えたのは、最近いつも見せられていた背中。
でも、いつもみたいに冷たく突き放すように見えないのは、さっきの優しい手のおかげかもしれない。

「ミケ分隊長に聞きました。ルルの紋章をご両親に貰いに行ってくれたのも、
 パーティーの夜に私を部屋まで運んでくれたのも、ブランケットをかけてくれたのも
 リヴァイ兵長だったんですね。」

ミケ分隊長から話を聞いた後、私はすぐにリヴァイ兵長を探しに走った。
でも、エルヴィン団長と会議室に籠っていて会えなかった。
それに、何も考えずに駆け出してしまったけれど、会っても何を話せばいいのか、自分がどうしたいのか分からないことにも気づいてしまった。
だから、あれから1日、ずっと考えて、今夜も図書室で座学の勉強をすることにした。
ミケ分隊長の話が本当なら、図書室で待っていれば、来てくれる気がしたから。

「チッ。クソ野郎が。」

リヴァイ兵長は、振り向かないままで悪態を吐いた。
おそらく、言うなーと忠告されていたのに口を滑らせてしまったミケ分隊長に対するものだろう。
それか、もしかしたら、寝たふりの私に気づけなかった自分に対するものかもしれないし、寝たふりなんて姑息な真似をした私へのものかもしれない。
でも、今度こそ、私はリヴァイ兵長にちゃんと向き合いたい。
自分勝手に気持ちを押し付けるように伝えるのではなくて、私なりの精一杯の優しさをー。
もしも、リヴァイ兵長もほんの少しでも向き合おうと思ってくれるのなら、もう一度だけ、気持ちを伝えるチャンスを、ほしいー。

「分からないんです…。リヴァイ兵長は、私の気持ちを知って、背を向けて
 避けるようになってたから…、どうして、こんな優しいことしてくれるのか。
 ミケ分隊長から聞いてから、ずっと考えてるんですけど、でも、分からなくて…。」

私の声は、リヴァイ兵長に届いているのだろうか。
背を向けたまま、決して振り返らない背中が、最近見慣れてきた冷たいものに似てきたような気がして、私は痛くなる胸を誤魔化すように、シャツの胸元を握った。
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