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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第66章 ◇第六十五話◇ブランケットの恋よ、さようなら【恋の行方編】


今夜も図書室でノートと資料を開いていた私は、窓際の席で、テーブルに顔を突っ伏したまま、大きな窓から夜空を見上げていた。
少し前の土砂降りが嘘みたいに、綺麗に晴れている今夜は、あの夜と違って雲はひとつもない。
澄んだ空にたくさんの星が見えている。
幾千の星と満月が照らす今夜は、とても明るかった。
しばらくすると、図書室の扉が開く小さな音がして、私は瞳を閉じた。
ゆっくりと歩く靴音が、少しずつ私のいる窓際まで近づいてきて、瞼に力が入る。
目を瞑っているから見えないけれど、靴音の主は、たぶん、私が待っていた人物だと思う。
私のすぐ隣で靴音が止まると、甘くて苦い紅茶の香りがした。
ふわりー、と肩に乗るとても軽い温もりを感じて、ブランケットをかけてくれたのだと分かる。
それで、去っていくのだとばかり思っていたけれど、違った。
その人の手が、割れ物にでも触れるみたいに私の髪に触れる。
そっと撫でる優しいその手つきと温もりが、ひどく懐かしくて、私は泣きそうになるのを必死に堪えながら、もっと顔をテーブルに向けて寝たフリをすればよかったと後悔する。
しばらくそうしていると、ゆっくりと手が離れていった。
途端に寂しくなって、もっとしてほしいと願ってしまって、胸がきゅっと締めつけられる。
靴音が一歩、二歩、と去っていくのを聞きながら、私はゆっくり口を開いた。

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