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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第62章 ◇第六十一話◇閉じるしかなった心の扉【恋の行方編】


「もしかして、私に調査兵をやめてほしいの?」

なんとなく、そんな気がして訊ねた。
アニは勢いよく顔を上げた後、嘲笑うような、彼女には似合わない笑みを浮かべた。

「まさか。そんなくだらないことで自分の命を捨てるアンタのことを
 馬鹿だと思っただけだよ。」
「…そっか。」

嘲るように言うアニの表情に、胸が痛くなった。
だから、私はアニの頭を撫でる。
彼女に何があったのかは分からないけれど、きっと教えてもくれないのだろうけど、そんな悲しい顔をしないで欲しかった。

「アンタってさ。」
「ん?」
「本当に、馬鹿だね。」

それだけ言って、アニはもうそろそろ寝る準備をするからとソファを立ち上がった。
そして、部屋を出る私は、扉まで送ってくれたアニに訊ねた。

「明日は何時の馬車に乗るの?見送りに行くよ。」
「いいよ、始発にするから、朝早いし。」
「頑張って起きるよ。」
「見送りとか子供みたいで恥ずかしいし、要らない。」
「そんなもんなの?」
「そんなもん。」
「そっか、わかった。じゃあ、今度は私が遊びに行くね。おやすみなさい。」
「おやすみ。」

そんなにキッパリと拒否されてしまうと、無理に見送りにも行けない。
見送りは恥ずかしいものなのかとも思って、私は諦めた。
パタン、と静かに閉まる扉の音は、アニの心の扉だったのかもしれない。

(私も明日は早いし、今日は勉強しないで寝ようかな~。)

何も知らない私は、明日もいつも通りの朝が来ると信じて疑わなかった。
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