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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第56章 ◇第五十五話◇もう二度と戻れない日常【恋の行方編】


ハンジさんとエルヴィン団長からの質問から逃げるための口実ではあったけれど、嘘をついたわけではなかった。
今日はマレーネ達と訓練の準備当番だった私は彼女達と一緒に、ほかの兵士たちよりも早く訓練場にやってきていた。
前回の壁外調査前の壁外任務で巨人に捕まり大けがをしてしまったフロリアンも少し前から復帰していて、今日の訓練準備当番は彼女も一緒だった。

「また指輪見てる~。嬉しいのは分かったから、これ運んでよー!」

マレーネにからかわれつつ、注意されたフロリアンがニヤけながら指輪を見ていた顔を上げた。

「だって、嬉しいんだもーん。みんなも恋をしたら分かるから!」
「それは恋人もいない私達への嫌味ですか~?」
「ちょっとやめてよ、私には恋人いるんだからね!」
「みんなっ!婚約解消の過去を持つが泣くので、結婚の話は禁句です!」
「やめて、今は優しさが痛いのっ、本当にやめてっ!」
「顔がマジ過ぎて怖いから、。」
「言えてる~、アハハハ。」

お互いの痛いところを刺激しあうブラックジョークを交わしながら、私達は和気あいあいと訓練の準備を進める。
フロリアンが恋人からロマンチックなプロポーズを受けたのは、私がリヴァイ兵長にフラれたその日のようだった。
彼女の恋人は兵士ではなく、家の跡を継いで商業をしているらしく、今までは兵士の彼女との結婚には消極的だったと聞いた。
だが、巨人に喰われそうになり死にかけて大けがを負った彼女を見て、いつ失うのか分からない恋人の尊い命を思い知った彼は覚悟を決めた。
次の壁外調査の日程はまだ決まっていないが、それが終わったら兵士を辞めて結婚することになったと彼女から報告を受けたのは昨日の夜のことだ。
兵士を辞めてほしいというのは彼だけではなく、彼のご両親、彼女のご両親含めた全員の願いだったらしい。
これまで人類に心臓をささげる覚悟を決めて危険な任務にも挑み、大切な仲間も出来た。だから、彼女も、兵団を去るという決意をするまでにはかなりの苦悩があったようだった。
でも、大切な彼の気持ちを尊重したいーと愛おしそうに指輪を眺めて頬笑んだ彼女はとても幸せそうで、私達は彼女の出した結論を応援することに決めた。

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