【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第50章 ◇第四十九話◇お手伝い【恋の行方編】
探していた書類はすぐに見つかり、他にも必要になるかもーと書類をとじているファイルをめくりだしたナナバさんに私は話しかけた。
「迷惑なんですかね?」
「ん?」
「私が部屋に来て、仕事のお手伝いしてるのって
迷惑、なんでしょうか。」
さっき、彼女達から言われたことが、ずっと頭の中でリピートされていた。
私は、リヴァイ兵長に迷惑をかけ、怪我までさせてしまった。だから、少しでも役に立てればと思って仕事の手伝いを申し出た。
受け入れてくれたから、少しは役に立てているのではないかと思っていたけれど、違うのだろうか。
彼女達に言われて、優しいリヴァイ兵長は、私の気持ちを察して気を遣ってくれているだけなのかもしれないーそう思ったのだ。
ナナバさんは、ちょうど書類を探し終えたのか、ファイルを閉じて顔を上げた。
「本人がそう言ったの?」
「いえ、リヴァイ兵長は…、助かるって言ってくれました。」
「それなら、役に立ってるってことだと思うけどね。」
「でも、リヴァイ兵長は優しいから、ルルのときのこととか、
怪我のことを気にしてる私に気を遣ってくれてるのかもしれないですよね。」
役に立ってるつもりで、結局は迷惑をかけていたのかもしれないと気づいて、私は落ち込んでいた。
でも、ナナバさんは、私の言葉を聞いて、キョトンとした顔をした後に、可笑しくてたまらないとばかりに笑いを吹き出した。
「あの…?」
「あー、ごめんごめんっ。確かに、リヴァイは見かけによらず心のある男だよ。
でも、優しいって…っ、気を遣うリヴァイを想像したら笑えて来ちゃって。」
ナナバさんは腹を抱えて笑い出してしまった。
これは、私だけではなく、リヴァイ兵長にも失礼なのではないだろうか。
しばらく好きなだけ笑った後、ようやく落ち着いてからナナバさんは言う。
「リヴァイは優しいとは思うよ。でも、絶対に嘘は吐かない。
良くも悪くも、思ってもないことは言わないヤツだから、
他の誰に何と言われても、リヴァイの言葉を信じてやってよ。」
ナナバさんは微笑んで、私の髪をクシャリと撫でた。
ハンジさんに似てるその仕草が、とても優しかった。