【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第48章 ◇第四十七話◇自由な兵士【恋の行方編】
「アハハっ、大丈夫、大丈夫っ。それなら、はなれてるよ!
誰よりも自由だっ!」
ハンジが腹を抱えて笑い出す。
本当にその通りだ。
エルヴィンまで思わず吹き出してしまうと、ショックだったのかが、ハンジよりはマシだとかなんとか文句を言いだしたが、そういうところも含めて自由だと言っていることに気づいていないらしい。
「そうだな。君は今までも好きなようにやらせた方が実力を発揮出来た。
これからも、その調子で頼むよ。」
「…褒めてもらってるんですよね?」
訝し気にエルヴィンの目を覗き込むが可笑しくて、また吹き出しそうになるのを必死に堪える。
「もちろん、褒めている。期待しているよ。」
不服そうにしつつも、はそれ以上、何も言い返すことはなかった。
「では、自由な兵士に訊ねよう。」
「何でしょうか。」
吹き出すハンジを、横目で悔しそうに見ながらもは返事をする。
「君はさっき、ルルを殺したのは世界だと答えた。
では、その世界を憎むか?」
「いいえ。」
「ほう、どうして?」
「ルルが、この世界は美しいと信じたいと言いました。
彼女が、この世界を赦すのなら、私もこの世界を赦します。」
真っすぐなの瞳に、迷いはない。
自由な兵士、というフレーズに思わず笑ってしまったけれど、もしかするとそれは、とてつもなく強い兵士なのではないだろうか。
そんな期待が、エルヴィンの中に生まれていくー。
「では、世界はこのままでいいと思っているということかな。」
「まさか。この世界は腐っています。でも、すべてが腐っているわけじゃない。
ただ残念ながら、壁の中で腐ってしまったたくさんのものが美しいものを飲み込もうとしている。
私は、この世界をルルの信じた美しい世界にしないといけないと思っています。」
「そのために、君はどうするつもりでいる?」
「時には、非情な決断も、必要だと思っています。」
言い苦しそうだったけれど、の目は力強い眼差しを残したままだった。
あれだけ不安定で危なっかしかった彼女の姿が、今はもうどこにもいない。
立派な兵士がいた。
生まれ変わったーその言葉が一番しっくりくる気がする。
今度こそ本当に、驚いた。
にではない。ルルが残した希望に、だ。