【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第47章 ◇第四十六話◇おかえり【調査兵団入団編】
「夫婦喧嘩の仲直りごっこしましょうよっ。」
悪戯心と少しの期待を込めて、私は冗談っぽくリヴァイ兵長に提案した。
あからさまに嫌そうな顔をしたリヴァイ兵長は、返事すらする気がない様子でまた歩き出す。
「いいじゃないですか~っ。なかなかの演技力でしたよっ。」
リヴァイ兵長を追いかけて、隣に並ぶ。
言っておくが、これはお世辞でも嫌味でもなく、本心だ。
何て言ったって、私はまんまと騙された張本人だから。
「…お前もな。」
引くほど睨まれた。
やっぱり、心が折れそうだ。
でも、せっかく2人きりでチャンスなのだし、と少しの期待が私をそそのかす。
「ユミルが言ってましたよ。
フィナーレは、感動のキスシーンだったんだって。」
冗談めかして私が言うと、リヴァイ兵長が立ち止まってしまった。
調子に乗りすぎた。
本当に怒らせてしまったのかもしれない。
すぐに謝らないとー。
そう思って、開きかけた私の唇にリヴァイ兵長のそれが押し付けられた。
驚きすぎて、息が止まるどころか、心臓が止まった。
リヴァイ兵長に掴まれた腕が熱を持って、身体中を痺れさせていく。
挑むような鋭い瞳が、目を見開く私が目を反らすのを許してくれない。
唇が重なっていたのは、ほんの1秒2秒とかそれくらいだったと思う。
掴んだ腕から突き放すように、リヴァイ兵長の唇は離れていった。
「これで満足か。クソ野郎。」
リヴァイ兵長はそう言って、私に背中を向けて、歩き出した。
でも、私はまだ動けなくて、死ぬほどツラいリヴァイ兵長の訓練が終わった後でもこんなことにはならないってくらいに心臓がバクバクいっていた。
やっぱり、私は調子に乗りすぎたようだ。
「あのっ、ごめんなさいっ。」
私はリヴァイ兵長の後ろ姿を追いかけた。
怒らせてしまった。
悪ふざけをしすぎて、嫌われてしまっていたらどうしよう。
好きな人とキスが出来たのに、ショックと不安で泣きそうだった。
「あぁ、確か、まだ続きがあったな。」
不意に、リヴァイ兵長が振り返る。
そして、不安で泣きそうな私に優しく言ったー。