【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第47章 ◇第四十六話◇おかえり【調査兵団入団編】
すっかり腰も落ち着いた私は、リヴァイ兵長と一緒に壁の上で夜の散歩をしていた。
相変わらず星は途方もなく遠いけれど、壁の上から眺めるトロスト区の夜の姿は、昼間のそれとは違っていて、私の親しむ良い故郷だった。
いつか、家族と一緒に戻ってきたいーそう思う。
「人類が巨人に勝ったら、この壁は壊されるんですかね。」
なんとなく歩き続けながら、私はふと疑問に思ったことを口にした。
「巨人が消えてもくせぇままの世界なら、壊しちまった方がせいせいするだろうな。」
星を見上げて歩きながら、リヴァイ兵長は答えた。
そうだ。壁はない方がいい。
だって、壁の外の空気はとても美味しいし、澄んでいて綺麗だ。
私達の自由を阻むのが壁なら、壊した方がいい。
「そしたら、こんなに近くで星を見上げることは、もう出来なくなりますね。」
立ち止まり、私は星空に手を伸ばす。
相変わらず、私と彼らの間には途方もないほどの距離があってー。
「でも、さっき、思ったんです。」
「なんだ。」
先を歩いていたリヴァイ兵長が立ち止まり、振り返った。
私は隣にいる誰かと手を繋ごうとしているみたいに、両手を広げた。
「私の大切な親友は、
ルルとヒルラは、ほら、ここにいる。」
私は、見えない彼女達の手をしっかり握りしめて、リヴァイ兵長に見せた。
リヴァイ兵長は面食らったようだったけれど、優しい声で「そうだな。」と言ってくれた。
彼にも彼女達が見えていたのなら、嬉しい。
そして、この壁がなくなって、自由な世界を人類が取り戻したとき、私の手を握ってくれるのがリヴァイ兵長だったならー。
言えないけれど、星を見上げる横顔を眺めながら、私はそんな勝手なことを願っていた。
私は、今度こそ、人類に心臓を捧げる覚悟で帰ってきたのだー。
短い人生を捧げる覚悟でー。