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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第47章 ◇第四十六話◇おかえり【調査兵団入団編】


夕食を終えた頃はまだ薄暗いだけだった空は夜の色になり、風も冷たくなっていた。
リヴァイ兵長に連れられて兵舎を出た私は、思わずカーディガンの裾を引っ張る。
どこへ向かっているのかは分からないが、とりあえず隣を歩きながら、私は故郷であるトロスト区の様子に胸を痛めた。
壁外調査の準備のためにずっとカラネス区にいたし、壁外調査から帰ってきてからはずっと兵舎に閉じこもっていたから、トロスト区の様子を見るのは久しぶりだった。
傷跡が痛々しい―そう思った。
住民も少しずつ戻っては来ているようで、あちらこちらで人々が生活している声や音がする。
でも、復旧にはまだまだ時間がかかりそうだ。
しばらく歩き続けて、リヴァイ兵長の足がようやく止まったのは外門の前だった。
巨人化したエレンが塞いだ大きな穴が、あのときの兵士達の命を懸けた壮絶な戦いを忘れるなと言っているみたいだ。

「行くぞ。」

首が痛くなるほど大きな岩を見上げていた私の手を、リヴァイ兵長の手が握った。
突然の行動に驚く暇もないうちに、握られた手を引っ張られて、私は横抱きにされていた。
いわゆる、お姫様抱っこの状態に、困惑する以前に疑問符しか浮かばない。

「あの…?」
「おれの首につかまれ。」

下からリヴァイ兵長の顔を見上げたが、彼はこちらを見ることはしなかった。
もっと上の方を見ていて、やっぱり、特に説明するつもりはないらしい。
リヴァイ兵長の首につかまれ、ということは、抱き着けってことだろうか。
すごく恥ずかしい…この状況も含めて。
でもー。
私は、おずおずと手を伸ばして、リヴァイ兵長の首に手をかけた。
抱き着くというよりは、そっと触れる程度だったけれど、とりあえず了承はもらえたのかもしれない。
リヴァイ兵長が、ワイヤーを飛ばしたからー。

「え?リヴァイ兵長、何をー。」
「つかまってろ。」
「えッ!?うそッ!?ちょっと、待ってっ!」

もしかして、この人はこのまま壁を飛び上がるつもりじゃー。
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