【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第46章 ◇第四十五話◇ただいま【調査兵団入団編】
驚いて目を見開く私から、リヴァイ兵長が目を反らす。
その頬がうっすらと赤くなっているように見えるのは、私の見間違いでいいのだろうか。
「あの…。」
「なんだ。」
リヴァイ兵長は、不機嫌そうにしつつも、ちゃんと私を見てくれた。
「私…、帰っても、いいんですか?」
私が訊ねると、今度はリヴァイ兵長が驚いていた。
僅かに目を見開いた後に息を吐くと、ようやく不機嫌だった表情がやわらいだようだった。
「当たり前だ。お前の帰る場所はおれだろ。
-おいで。」
リヴァイ兵長はそう言って、両手を広げた。
右手はまだ包帯が巻かれていて、とても痛々しい。
それは、私のせいなのに、本当に帰っていいのだろうか。
私はまた無茶をして迷惑をかけてしまうかもしれないし、いっぱい泣いて困らせてしまうかもしれないし、それからー。
頭の中では言い訳がいっぱい浮かんでいたのに、気づいたら、私は抱えていた荷物も投げ捨てて、床を蹴っていた。
走り出した足はもう止まらない。
勢いよく胸に飛び込んだ私を、決して大きいとはいえない身体で、リヴァイ兵長がしっかりと受け止めてくれた。
「ただいまっ、戻りました…っ!」
「遅かったじゃねぇ―か、グズ野郎。」
乱暴な言葉の割に、その声色は優しくて、私の身体を受け止めたリヴァイ兵長の腕は、まるで私の存在を確かめているみたいだった。
遠い遠い昔に知ったような気がする凄く懐かしい感触に、思わず泣きそうになって、私はもっと強く抱きしめる。
もう、離れたくないー。
ただいま、私の帰る場所ー。