【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第43章 ◇第四十二話◇優しい声の使者【調査兵団入団編】
そこには、送り主であるルルの名前の他にもう一人の名前が記してあった。
それは、この手紙の宛名で、私が一番見慣れた名前ー。
(どうして、ルルが私に手紙を?
それに、ルルは家族に手紙を書いていたんじゃなかったの?)
頭の中に浮かぶ私の疑問が見えているみたいに、クリスタはあの日のことを話してくれた。
「どうしてさんに手紙を書くのか不思議に思って聞いてみたら、
自分に何かあったら、それをさんに渡してほしいと頼まれました。」
「え…?」
どういうことだ。
ルルはどうしてそんなことをクリスタに頼んだのだ。
いや、違う。
どうして、まるで死ぬのが分かっていたみたいに、そんなことをー。
「私達も気づかないで、彼女の遺品としてすべてをご両親に渡していたんだ。
クリスタからその話を聞いたのが、君が調査兵団を出て行く当日で、
慌ててご両親に連絡をとって、その手紙を見つけてもらったんだ。」
「娘が残した遺品の中に、君の名前が書かれた手紙があることは、私達も気づいていた。
私達に宛てたルルの手紙と一緒にあったからね。でも…、私達は読めなかった。
だから、娘の残した思いに気づけず、こんなに遅くなってしまって悪いことをしたよ。」
ルルの父親は悲しそうにそう言うと、目を伏せて目頭を押さえる母親の肩を抱き寄せた。
彼女の思いというのは、一体何のことを言っているのだろう。
それが手紙に書かれているということなのか。
どうして、彼女は手紙に気持ちを書いた。
それじゃまるでー。
「自分がいなくなったときに、この手紙がさんを救う助けになるはずだって言ってました。
ルルさん、いつまでもさんには笑っていてほしいってー。」
「どうしてよっ!」
私は手紙を片手に持ったまま、クリスタの両腕を握って彼女の身体を揺らした。
意味が分からない。
どういうことだ。これじゃまるでー。