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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第36章 ◇第三十五話◇無情にも届かない手【調査兵団入団編】


「イヤ…っ!イヤッ!!ルルッ!!」

リヴァイ兵長の腕の中で、必死にもがいて、私は後ろを振り向く。
今なら、まだ間に合うはずだ。
だから、ルルに近づかないで。
でも、無情に、3体の巨人は嬉しそうに口を開いて、ルルの元へ辿り着いた。
大きな手が、ルルに触れる。
いやだ。いやだ、見たくない。
大切な友人の腕が巨人に引きちぎられてるところなんて、巨人にかじられてるところなんて。
早く、早く助けないとー。

「放してッ!放してよッ!!」
「暴れるな。お前を落としちまうじゃねーか。」
「じゃあ、落としてッ!!ルルを助けに行かなきゃッ!!」
「…アイツはもう無理だ。」
「勝手に…ッ、勝手に、ルルの命を諦めないでよ…ッ!」

リヴァイ兵長の腕の中で、私は必死にもがいた。暴れた。
ルルの命を、諦めたくない。

「!!!」

ルルが叫んだ。
ほら、ルルは生きてる。
まだ間に合う。

「ルル!!すぐ行くから!!助けるから!!」

リヴァイ兵長が体勢を崩してくれるように、そのまま私を落としてしまうように、私はより一層、暴れた。
早く、早くルルの元へ行かないと。
走っていけば、きっと間に合ー。

「!!いー。」

私の名前を呼んだルルの身体が、口の再生が終わった巨人に噛みちぎられた。
半分に折れたルルの身体を、集まってきた3体が好き放題引っ張る。
痛みと恐怖で彼女が上げた悲鳴が、彼女の断末魔が、巨大樹の森に、私の耳に響く。
これは、何ていう名前の地獄だろう。
彼女が一体、何をしたっていうのか。
彼女はただ、生きていただけだ。生きたかっただけなのにー。

「リヴァイ兵長…。」
「なんだ。」
「ルルが、死にました。」
「…そうか。」

それっきり、リヴァイ兵長も私も何も口にしなかった。
私は、見えなくなるまでずっと、捕食される親友を目に焼き付け続けていた。
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