【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第36章 ◇第三十五話◇無情にも届かない手【調査兵団入団編】
「おい、てめぇら、なんで巨人に飛び込んだ。バカ野郎が。」
ルルを巨人の口から必死に引っ張り出そうとする私と、自分を置いて逃げろと繰り返すルルの元へ、リヴァイ兵長が飛んできた。
「リヴァイ兵長、一緒にルルを引っ張ってください!!」
早く助けてあげてくれー。
願いを込めて言った。
だって、リヴァイ兵長は、ルルを助けに来てくれたのだと思ったから。
でもー。
「早くを連れて逃げてくださいッ!
立体起動装置が壊れてるんです!」
「チッ、そういうことか…!」
リヴァイ兵長は、視線だけを左右に動かした。
3体の巨人は、手が触れる距離にまでやってきている。
急がないとー。
「すまない。」
リヴァイ兵長は、ルルを見ると、それだけ言って私を片腕で抱きかかえた。
巨人の口の中から、私達を見上げているルルすら、自分の運命を悟ったように頷いていてー。
「ありがとうございます。」
優しいその声は、心からホッとしているようだった。
優しいその微笑みを、私はどこかで見たことがある気がしたけれど、彼女の目の前まで迫っている死の恐怖で、頭が回らなかった。
どうして、そんな風に微笑むの。
ここからリヴァイ兵長が去ったら、もうルルは助からないのに。
死んでしまうのにー。
(いやだ…!そんなの、いやだ!)
ルルを諦めるなんて、出来ない。
残してなんて行けない。
私だけ逃げるなんて、そんなこと出来ない。したくない。
だって、ルルは私を助けようとしてー。
「いやですっ!リヴァイ兵長が助けてくれないなら、私がー。」
「掴まれ!」
ルルに手を伸ばす私を強引に抱きかかえ、リヴァイ兵長はアンカーを飛ばした。
ルルとは反対の方向へー。