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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第36章 ◇第三十五話◇無情にも届かない手【調査兵団入団編】


巨人達がルルを追いかけなかったことにホッとして、私は、リヴァイ兵長を待っていた時のように木の枝に足を投げ出して座った。
相変わらず、眼下の巨人は手を伸ばして私を見上げている。
どんなに手を伸ばしたって、木の上まで届かないのにー。

「!!」

リヴァイ兵長の怒鳴り声が聞こえたのは、ルルが飛んですぐだった。
その声に驚いて、私は顔を上げた。
きっと、ルルもその声に驚いたのだろう。
私に背を向けて飛んでいたはずのルルが、振り返っていた。
一瞬の出来事だったけれど、私に見えたのは驚いた顔でこちらを見ているルルと、そこから少し離れたところから猛スピードで飛んできているリヴァイ兵長の姿。
でも、そのどちらとも目が合うことはなかった。
だって、彼らは、私のさらに後ろを見ていたから。

「ひ…っ!!」

慌てて後ろを振り向いた私は、恐怖に顔をひきつらせた。
悲鳴も出なかった。
巨人は3体じゃなかった。
いつの間にか、木登りをしていた巨人が1体いたらしい。
7m級のソレは、ついに私のいる木の上までやってきていて、嬉しそうに気持ちの悪い口を開けていた。
逃げるために立ち上がる時間すら、私には残されていなかった。
巨人が、足をかけていた木を蹴って飛び掛かる。
食べられるー!
思わず目を瞑った私に聞こえたのは、ワイヤーが飛んできたときの風と、立体起動装置のガスの音。
入団テストのときのように、リヴァイ兵長が助けに来てくれたー。
私はそう思った。
そして、目を開けて、残酷な現実を目の当たりにする。

「ルルッ!!」

私の代わりに、巨人に咥えられているのはルルだった。
両目から血を流している巨人が、ルルの下半身を口に咥えたまま地上に落ちていく。
身体を咥えられる前に、ルルが巨人の目を切ったようだった。
落ちていくルルに、私は慌てて手を伸ばす。
ルルも必死に私に手を伸ばした。
このまま落ちたら、他の3体もきっとルルを襲いだす。それまでに彼女を救わなければー。
でも、あと少し届かなかった。

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