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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第35章 ◇第三十四話◇友人達の強さ【調査兵団入団編】


彼女もまた、巨大樹の森を見据えていたけれど、その横顔は、とても大切なことを今から話そうとしているような、そんな表情をしていて、私も身構える。

「作戦が開始されたら、私達に命の保障はないの。」
「うん。分かってる。」
「明日の命があるか分からない私達だから、
 今の自分に嘘をつきたくない。」

ペトラはそう言うと、私の方を向いた。
大きな真っすぐな瞳に、私はまた、壁外調査前日の夜を思い出していた。

「私、リヴァイ兵長のこと、諦めないから。」

真正面から向けられる彼女の決意。
そう決めるまで、きっとたくさんの葛藤があったのだろうと思えば思うほど、私は何も言えなくなる。

「は?」
「え?」
「応援してくれる?」

私をまっすぐに見る大きくて綺麗な瞳。
その向こう、少し離れたところにリヴァイ兵長の黒馬が見えた。風になびく自由の翼もー。
一瞬、リヴァイ兵長のことを諦めないのかと聞かれたのかと思った。
ペトラは、知るはずないのに。
私が嘘をついているから、知らないのに。

「うん、応援するよ。」

私はまた、嘘を吐いた。
でも、もう少ししたら嘘ではなくなるはずだから。
私は、リヴァイ兵長への気持ちを殺すから。
だから、私は嘘はついてない。
でも、どうして、私はペトラの綺麗な瞳から目を反らしたんだろう。

「そっか。ありがとう。」

耳に届いたペトラの声に、胸が締め付けられた。
分かってる。
友人のためなんて言って、友人のせいにして、私は逃げたんだ。
苦しいから。
誰かを好きでいるのは、届かない誰かに手を伸ばし続けるのはヒドく寂しいから。
だから、苦しい恋に立ち向かおうとするペトラの強さが、私には眩しくて、自分がもっと惨めに見えて、だからー。

「ごめんね。」

誰にも聞こえない小さな謝罪の言葉。
一体、誰に言ったんだろう。
嘘を吐いたペトラかな、それとも、情けない私のせいで苦しみのまま死んでいく恋心にかなー。

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