悪役になりたいので、まずはフリから始めます。[鬼滅の刃]
第2章 悪役になりたい柱の話。
ある日、任務もないため藤の花の家紋の家にお世話になっていた時。ふと「どうしたら本音を言ってもらえるようになるのだろうか」と考えた。
誰からも頼られるような優しい人間になる?…それでは師範みたいに隠される。
秘密を守れそう、そう思ってもらえるような人間になる?…そう思っても話さない人はいるだろう。
いろいろ考えた末、いいアイデアが浮かんだ。
「嫌われ者になること」だった。
嫌われ者には悪意を隠さずに伝えてくれる。本音を、思ったことを絶対に話してくれる。
それによって私は信頼も何もかも失い、一人になるだろう。それでもいい。
悪意だけを向けられることで「金持ちの娘」とも「慈悲深く優しい子」とも思われないのだから。
しかし、「嫌われる」ためには何をすればいいのだろう?どうしたらいいのだろう。
流石に大勢の人に危害を加えたくないし。でも、言葉だけ悪くしても、きっと「そういう性格」で止まってしまう。どうにかして嫌われたいんだけど…。
そんなことを思って鬼を斬っていたら、いつの間にか柱になっていて、莉愛と出会ったのだ。そして、冒頭の会話(三ページ)に戻る。
私は莉愛を少し利用させてもらった。そして利用させられている。これで莉愛以外の人に危害を加えなくて済む。
もし、あの子に何かあったら私が全力でも守る。フリとはいえ、暴力を加えるんだから。それくらいしなきゃ。
私は嫌われてもいい。
どれだけ白い目で見られようとも。
本音を言ってくれるなら。
だから私は、
「はぁ?私がいじめ?証拠もないくせにそういうこと言わないでくれる?」
「フッ、バッカじゃないの?だからどんくさいとか言われるんじゃない?頭に脳味噌入ってないって言われるんじゃない?」
今日も悪役のフリをする。