悪役になりたいので、まずはフリから始めます。[鬼滅の刃]
第2章 悪役になりたい柱の話。
それから私は男の人に助けられ、その人に鬼殺隊に入ることを勧められた。行く当ても無いので入ることにした私は、男の人…師範に稽古をつけてもらうことに。厳しいけど、楽しい毎日で、師範はいつも優しかった。負の感情なんて、私が叱られるべきことをした時くらいしか感じなかった。
そして最終選別を合格して師範の屋敷に戻った時…過去にもみたことのあるような光景を見てしまったのだ。
師範は死んだ。一週間前まですごく元気だったのに。死ぬ間際に書いたのだろう、師範が残してくれた手紙を読んで、また私は「本音を、本当のことを言ってもらえなかったのか」と感じた。
優希へ
この手紙を読んでいる、ということは私はもう死んでいるのだろう。
いきなりだが数年前、私は鬼の血鬼術にかかり重い病を患った。当時柱だった私は鬼殺隊を辞め、ひっそりと暮らしていこうと思った。その矢先にお前を拾ったのだ。
お前には冷たい言葉しかかけられなかった。「私みたいにならないように」と思っての言葉だったが、辛い思いをさせたかもしれない。すまなかった。そして病のことを黙っていたのも。
私はお前のそばでずっと生きてる。ずっと見守っている。だからどうか、お前は天寿を全うして死ね。
それでは私は死ぬ。また、お前といつか会えることを願う。
師範に私を傷つけるつもりはなかったに違いない。いや、傷つけたくなかったから隠していたのだろう。でも私は「本音で話してくれなかった」と思った。…いや、思ってしまった。
最低だ。私はとても最低な人間だ。そうわかっていても、考えることを止められなかった。
それから数か月は任務に身が入らなかった。それこそ、死にかけたこともあった。「こんなんじゃだめだ。師範に顔向けできない」と思うことで自分に喝を入れたこともあった。けど、最終的には「もし師範が本当は私に生きてほしくない、って思っていたら」なんて思い、無駄だった。