悪役になりたいので、まずはフリから始めます。[鬼滅の刃]
第2章 悪役になりたい柱の話。
柱になって数日が経った。私はたまたま任務で一緒になった莉愛と話をしていた。誰にも知られちゃいけない、秘密の話を。
「…あんたはいいよな。私と違って、愛されていてさ。私は愛も何ももらったことない。性格が悪いからでもあるけど」
「よくないよ。あの性格でいるの、結構疲れるし。それを言うなら莉愛が羨ましいよ」
「は?こんな悪役気質が?」
「そうだよ!私さ、昔から悪役っていうものに憧れていたの。自由奔放に生きていたかったけどさ、親が厳しくて…」
「悪役っていうのは否定してくれないんだな」
莉愛が少し不貞腐れる。そんな、他愛のない話だった。
…ふと私は考えて、ある提案をしてみた。
「あのさ、契約しない?私は悪役になりたくて、莉愛は愛され女子になりたい。それにはいくら頑張ってもなれない」
「だから何よ」
「つまり、私が悪役のフリをして#NAME4#は被害者のフリをする。そしたら少しでも近づけると思わない?自分のなりたいものに」
莉愛は少し考えるそぶりを見せてから、「いいわよ。のってあげる」と肯定の意を示してくれた。
「悪役気質の私があんたを悪役に仕立て上げてあげる。だからその代わり…」
言葉を詰まらせた莉愛。沈黙の末、顔を林檎飴みたいに真っ赤にして
「わ、私の書類仕事を少しやってくれないかしら。書類仕事、苦手なの」
と。私は「可愛い!」と本人にバレたらきっと怒られるようなことを思いながら
「わかった。私も「誰からにも好かれる子」に莉愛を仕立ててあげるよ!」
私に向けた負の感情を全く持っていない彼女に笑顔で告げた。