悪役になりたいので、まずはフリから始めます。[鬼滅の刃]
第3章 愛されたい柱の話。
幼い頃から要らない子扱いを受けてきた。それが私。
母親は私を産んですぐに死んだ。鬼に喰われたらしい。
そんなのはどうでもよかった。それよりも父親と、再婚相手が問題だった。
継母も父も私を殴るための、「鬱憤を発散するもの」としか思っていなかった。そのうえ、父は昼夜問わず酒を飲み暴力事件を起こす。継母は男と遊んでばっかり。喧嘩してばかりの二人。いつも警察沙汰になる。その度に謝るのは決まって私。警察も私の傷を見て見ぬふりをした。
親に仕事を押し付けられ、すべて一人でやる。朝から晩まで、春夏秋冬問わず。
倒れても、風邪をひいても両親は見て見ぬふり。それが嫌だった。
少しでいいから、私を「殴るためのもの」としてではなく一人の「人間」として、「鐘原莉愛」として見てほしかった。
少しでも、愛されたかった。
でも、私は近所の人から「暴力家族の不良娘」として扱われた。私は不良みたいなこと、してないのに。
親も近所の人も、「正義の味方」ぶっている警察も。みんなみんな、私を好いてはくれなかった。
やがて親から「殴るためのもの」としてではなく「要らない子」として扱われた私。理由は「莉愛のせいで、男にフラれた/喧嘩を売られた」から。
全て、私のせいじゃない。でも、そんなこと言ったら殺されるから黙ってやり過ごした。黙っていたら親はいろいろなことを言ってくる。「忌み子」だとか「呪われた子」だとか。どうしてだろうと、どうしてそんなこと言われなきゃいけないんだろう。そう考える。
私は何もしていない。何も悪いことはしてないのに。
なぜ嫌われるのだろう?
そう自問自答しても分からない。
私は本当に呪われた子なのかな。
忌み子なのかな。
そんなこと考えても、やっぱり分かるわけない。そんな苦しい毎日を過ごしていた。…あの時までは。