第2章 ②
始業式のその日は半日で学校は終わり。
昼食を食べると後は日暮れまで練習だ。その後は各自で自主練。
沢村の投球練習にも付き合ってやらないとな…なんて思いながら教室を出て歩き始めた廊下。ふと前には永原が歩いていた。
179㎝の御幸と恐らく160㎝程の永原。頭頂部がよく見える。
つむじ…何となくぼんやりそんなことを思っていると2、3人の女子生徒が永原に駆け寄ってきた。
「碧!一緒に帰ろ!」
「わっ!ビックリした~ありがとう。でも私、少し部活見学に行きたくて。」
もう永原のことを下の名前で呼んでるのか…まぁ、女子のノリなんてそんなもんか…相変わらず興味のない女同士のやりとりのはずなのに何故かその会話をしっかりと聞いている御幸がそこにはいた。
もう3年生だから部活は入らなくてもいいと先生には言われたらしいが、ずっと吹奏楽部でクラリネットを吹いてきたからここ、青道高校でも吹奏楽部に入るつもりで見学に行きたいと永原は楽しそうに話している。
吹奏楽部…クラリネット……ふ~ん…興味のないはずの話題を御幸は何度も頭の中で反芻していることに当の本人は気付いてない。
「あ、だったら部長の守山くんとこ連れて行ってあげる!友達だし。」
「え?ホント!ありがとう!」
そう声をかけるクラスメイトと嬉しそうな永原。