第3章 Tragedy ー悲劇ー
ラルの泣き声が響く。
そんなとき、1人の男がラルを抱き抱えて走り出した
「っ、え、?」
ガッチリと捕まれた体は離れることも出来ない
だんだんと離れていく母の姿。そんな母に大きな手を伸ばす巨人の姿
「は、離して。お母さんが……お母さんが巨人に食べられちゃう。」
「それはできねぇ。お前だけでも助かるんだ!」
そんなとき、母が叫んだ
「ラル!!生きて!!!」
そのあと、母は"ありがとう"と呟いた気がした
そして、巨人に捕まれた母はそのまま巨人の大きな口のなかに放り込まれた
バキッ ベキベキ
骨の砕ける音。母の血がそこら中に飛び散り、私の頬にまでかかった
「あ、あぁぁ……いや、いやぁぁぁぁぁぁぁ」
━━笑って
━━ラル。
━━その鍵を肌身離さず持っていなさい
━━生きて!!!
ラルの手にはしっかりと、母から貰った鍵が握られていた