第3章 Tragedy ー悲劇ー
「なんで?なんで……なんでなんでなんで!!」
なんで、壁が壊されたの?
なんで、お母さんがこんな目に遭うの?
なんで、瓦礫を退かせないの?
なんで、私に力がないの?
「お母さん、早くそこから出てきて……ヒック……うぅ。」
ラルの目からは涙が溢れでてきた
そんなラルを見て母は眉を下げ、ニコリと笑った
「ラル、ごめんね。こんなとき、ラルを抱き締めて泣き止ませたいんだけど……もぅ、そんなことも出来ないの。ごめんね……」
手を伸ばして、ラルの頭を撫でてやりたい
私の胸で思いっきり泣かせてあげたい
私の手でラルの涙を拭うことも、もぅできない
「ラル、お母さんね、ラルの泣き顔見たくないな。どうせならラルの笑顔が見たいよ。ね?ラル、お母さんのために笑って。」
「うぅぅー。ぅん。」
「それとね、これを。」
そう言って差し出したのは紐が通してある1つの鍵
「ラル、この鍵を肌身離さず持っていなさい。いいね?ラル。生きて。元気で笑って生きなさい!!」
ズシン、ズシン、地響きがだんだんと近くなる。近くなるにつれて見えてくる巨人の姿。
笑って。母にそう言われたけど……
「笑えないよ……。助けて……誰か助けて」
誰か……誰でもいいから……お母さんを助けて
そのとき、頭に浮かんだのはリヴァイの姿だった。
り、リヴァイ……助けて
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」