第3章 Tragedy ー悲劇ー
「お母さん!!!」
もう、逃げていることを願うしかなかった。巨人に喰われていないだろうか……
母は生きているだろうか……。
ようやく家にたどり着いたラルは目を疑った。岩によって家は潰され、母がその下敷きになっていたからだ。
「お母さん!!!」
「ラ、ラル……?」
なんとか意識はあるようだが、頭から血が止めどなく流れていた
「ラル。何をしているの!早く……早く逃げなさい!!!」
下敷きになっている母は身動きが出来ない。ただ、ラルに逃げろ!と叫ぶだけしかできなかった
「い、やだ!!逃げるならお母さんも一緒に逃げるの!!!」
どうにか瓦礫を退かそうとするが、ラルの力だけでどうにかできる重さじゃない。ラルもそのことはわかっている。でも、瓦礫を退ける以外に方法が見つからない
「ふんん!!」
ポロポロと涙が零れ、手からは血が垂れてきていた
「ラル!!!」
母が叫ぶがラルは聞く耳をもたない