第3章 Tragedy ー悲劇ー
「あ、あぁぁ……」
これは、夢なのだろうか……そう疑いたくなる
だって、約100年の平和を実現させた壁が、今、巨人によって壊されたのだから……
うわー!!逃げろー!!!そう叫びながら逃げ回る人々
私は暫くそこから動けなかった……
ズシン、ズシンと地響きが響く。我を失い、必死に逃げる人。飛ばされた岩の下敷きになっている者。
「あれが……巨人……」
早く、早く……逃げなきゃ……!!
初めて見る巨人の姿。それにラルは震えが止まらず、逃げないといけない。とわかっていても、足が動かなかった
巨人に……喰われる……!!
「動いて……動いて……」
汗が頬を伝う。瞬きが出来ない。足が動かない。そんなとき、逃げる1人の男がラルにぶつかった
「あっ、」
それを拍子にラルは走り出した。自分の家に……母のもとに……