第1章 an encounterー出会いー
この人も少し怖いけど…さっきのおじさんより、怖くない……
追われながらラルはそんなことを思っていた
そんなとき、
パンッパンッパンッ!!
物凄い大きな音が響いた
それと同時に前から「うっ!」という声
見ると彼の肩から血が溢れていた
後ろを見れば、先程のおじさんが拳銃を持っていた
彼は、おじさんの持っていた拳銃によって、左肩を撃たれたのだ
「あ、あぁ……」
その事がわかったラルは、震え出し涙も流し出す
そんな彼はラルをチラッと見る
そして、痛そうに顔を歪めながら舌打ちをする
「チッ。泣くんじゃねぇ。糞ガキ」
「だってぇー!」
「ぐちぐち泣くぐらいなら走れ!」
そう言って、よりいっそう走る速さを増していった
「ここまで来れば大丈夫だろう」
二人は何とか、おじさんを撒いた
「ご、ごめんなさい!!」
彼は痛そうに、撃たれた左肩を押さえている
そこからは止めどなく血が溢れていた
「私のせいで、ごめんなさい……」
目に涙をいっぱい溜めて謝るラル
そんなラルを見て、彼はまた、舌打ちをする
「チッ。おい、ガキ。お前のせいじゃねぇよ」
辺りを警戒しながら、彼は言う
「俺の不注意だ。だから、お前のせいじゃねぇ」
言い方はきついがその言葉は優しい
それにラルはまた泣き出す
「うぅ…。うわぁぁぁん!!」
「なっ!ばっ!てめぇ!大声で泣くんじゃねぇ!!
ばれちまうだろが!!」